2015年12月25日金曜日

発信者情報開示請求1(手続の流れ)

 最近御相談,御依頼の多い,発信者情報開示請求の流れについて,説明します。

事案は,ある電子掲示板に,自分のプライバシーに関する情報(人に知られたくない情報)が掲載されたというものを想定します。

1 この電子掲示板の運営者宛に,掲載された情報(「侵害情報」といいます。)の,①書き込み時のIPアドレス,②書き込み時の時刻等の発信者特定情報を開示を求める。

2 1の送付先がわからない場合は,電子掲示板のURLから,当該ドメインの所有者(管理者)を調べ(WHOISサービスで調査),そこに開示を求める。

3 1で開示をしないという回答が来た場合,発信者特定情報の開示の仮処分申立を行う。(場合によっては,電子ログの保存の仮処分も行う)
  これは,裁判所を利用する手続きです。

4 1または3で,発信者特定情報が開示されたら,該当IPアドレスを管理しているプロバイダ等に,当該発信者特定情報を通知して,発信者情報開示請求を行う。

5 4で発信者情報の開示が行われなかった場合(該当プロバイダが,権利侵害が明らかとは判断できないとの理由で開示を拒否した場合。開示請求にかかるデータが見つからないという場合はデータの特定を急ぐ必要がある),発信者情報開示の訴訟提起を行う。

場合によっては,複数のプロバイダを経由していることがあり,その場合,上記4(または5)を繰り返す必要があります。

 次回以降で,事例の多い電子掲示板ごとの発信者情報開示請求に対する対応をまとめたいと思います。

年末年始のお休みの御連絡

 平素は格別のお引き立てを賜わり厚くお礼申し上げます。

 当事務所の年末年始休業についてお知らせいたします。

 平成27年12月29日(火)~平成28年1月3日(日)
の期間,年末年始のお休みをいただいております。
 また,新年1月4日月曜は,13時より営業を開始いたします。(翌日以降は,通常通りです。)

 休み期間中の御連絡は,留守録または電子メール,FAX等にてお願いいたします。

 瀬戸法律事務所

2015年9月16日水曜日

(最高裁判例)特定調停後の過払金請求(平成27年9月15日)

平成25(受)1989号不当利得返還請求事件
裁判年月日  平成27年9月15日
最高裁判所第三小法廷

http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=85318
http://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/318/085318_hanrei.pdf

 特定調停で清算条項付の調停をした後,過払金請求ができるかについては,下級審でもかなり見解が分かれていましたが,最高裁が判断をしました。

 まとめると,
特定調停で清算条項付調停をしても
1 調停時点までの過払金債権は失われない。
2 調停で決まった支払いは,有効で,その支払分は不当利得とならない(過払金に算入できない)
ということになります。

 特定調停は簡単にいうと,債務者の債務に関する話し合いを行う手続きであり,その話し合いで決まった内容が調停条項となります。(和解と同じようなものです)
 話し合いで決めるものですから,過払金債権があるのに,その前提をしらずに債務があることを認める内容の調停条項は無効ではないかという点が問題でした。

 今回も,裁判所は過払金債権者と貸金業者の利益の中間をとるような判断をしました。

 私が担当した事件で,特定調停後の過払金請求をしたものは多くはありませんが,請求した時期が古いものがほとんどでそのころは各貸金業者も返還に寛容であったためか,1件を除いて,一連計算で返金をしてもらっていた記憶があります。
 他の1件は,裁判までいきましたが,1審全面勝訴,控訴審で裁判所より清算条項有効と判断するので判決なら全面敗訴になるといわれ,全面勝訴額の4割程度で和解をしました。
 この事案は,いずれにせよ自己破産をしないといけない事案で,多く取り戻しても依頼者に返還できるものにはなりにくい一方で,破産手続費用のため,取戻し額が0円となってはならず,やむをえずに和解をしたものでした。
 今回の最高裁判例の基準に照らしてみると,その8割程度の金額を和解金として回収できていましたので,結果としてそれなりの解決であったと思います。

2015年8月12日水曜日

事務所 お盆休みの御連絡



 平素は格別のお引き立てを賜わり厚くお礼申し上げます。

 当事務所のお盆休業についてお知らせいたします。

  8月13日(木)~8月16日(日)
の期間,お盆休みをいただいております。

 休み期間中の御連絡は,留守録または電子メール,FAX等にてお願いいたします。

2015年7月3日金曜日

平成27年6月1日  最高裁判所第二小法廷 判決について

平成26(受)1817  不当利得返還請求事件 
平成27年6月1日  最高裁判所第二小法廷判決
http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=85133

平成26(受)2344 不当利得返還請求事件 
平成27年6月1日  最高裁判所第二小法廷判決
http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=85134

判断のちがう2つの原審判決について,最高裁が判断を示しました。
継続的金銭消費貸借契約中に貸金債権の譲渡があった現在のCFJに対する不当利得返還請求事件。

債権譲渡について,借主が異議をとどめない承諾をしたという理論をだしてきたCFJに対して,
対抗できる抗弁について知らなくても過失がある場合には,抗弁の対抗を受けるという判断で,この法理自体は従前の最高裁判例にあったものですが,過払金請求事件の17条書面の交付の点についても,適用があるとした判断です。

結論からいうとほとんどの場合,17条書面の不交付の抗弁は対抗できるのではないかと思われます。