2024年10月31日木曜日

【解決事例】転職会議(リブセンス)に対する口コミ削除請求

  【事案】

ある企業が転職会議サイトにおいて、労働環境、経営者に関する事項、従業員への業務指示において、虚偽の内容が記載された口コミが投稿された。名誉毀損であるし、求職応募者が減少したため、この投稿の削除請求をしたい。

【対応】

 訴訟外交渉において、当該口コミの削除を求めた。

転職会議が一応理由があると認める部分は、口コミの文章の一部を伏字にする形で削除がなされた。

 しかしながら、削除を求めた部分の全部は削除されなかった。

 このため、投稿記事削除の仮処分を裁判所に申し立てた。

 仮処分の審尋(双方当事者を呼び出して裁判所とともに審理をする期日)で、虚偽であるということを示す証拠として依頼者側が出しうる証拠の全部を提出し、裁判所の仲介もあり、依頼者側が削除を求めた目的を達することができる範囲の削除をするという内容で(削除範囲部分は転職会議側と協議)和解を行い、削除がなされた。

【解説等】

 転職会議側も削除の理由として正当と認めるものについては、削除をする方針のようであるが、なるべく削除をしない、削除するにしても関係する文字部分に限定する等削除に対する対応は厳しめの印象を受けます。

 また、削除理由をどの証拠があれば正当と認めるかについても任意交渉の時点では厳しめの判断であるようである、裁判手続になり、転職会議側弁護士や裁判官からの示唆を経て削除してもよいという判断に至る場合も少なくないようなので、裁判手続も視野にいれて対応する必要がありそうです。

瀬戸法律事務所


2024年10月25日金曜日

【解決事例】風俗店勤務者に対する誹謗中傷事例

 【事案】

 インターネット掲示板ホストラブに、風俗嬢への誹謗中傷を長期間繰り返す内容の投稿がなされる。

 投稿者を特定して賠償請求したい。

【対応・結果】

 ホストラブ運営者に開示請求を行い、開示IP等からおそらく3名程度の者の投稿と考えられ、当該投稿について、アクセスプロバイダ(携帯電話会社等)に開示請求を行った結果、最終的に4名いると判明。

 4名は、男性2名(客ではない者、客であった者)、依頼者と同勤務先の女性2名。風俗店ではやっかみ・嫉妬等で同僚からの攻撃がなされることは少なくない。

 1名については、開示請求の際に、代理人がつき、氏名を明かさないことを条件に早期和解。氏名が明かされないため法的実効性はないが、今後、依頼者に関する投稿をしないことも和解書に盛り込んだ。

 残る3名に賠償請求を行い、最終的には全員と和解。勤務先の経営者が円満解決へむけて加害者説得を援助してもらったことも大きかった。

 加害者となる者も、精神面や収入面の不安定さからやっかみ・嫉妬等を生じることが多く、加害者の立場でこれらの不安定さを取り除くことができると、被害者が投稿等により同じ精神面や収入面の不安定に陥ることを理解でき賠償についても前向きになるため早期解決につながるのではないかと思われる。

 賠償は、一括払い、長期の分割払いを含んだりして合計200万円強の回収。

 賠償を得たこともさることながら、開示請求を始めたことにより、誹謗中傷の投稿がなくなったことで、依頼者本人の精神的ストレスがなくなったことが大きかったとのこと。

【感想・解説】

 風俗関連での誹謗中傷は少なくないです。そして、同僚のやっかみ・嫉妬から攻撃を受けるということも少なくないです。風俗店勤務の場合、勤務先がよくかわることから、判決をとって強制執行により回収をするということが難しいことが多いですし、このような投稿を行う者は収入が少ないことも多いです。

 


2024年10月24日木曜日

【解決事例】インターネット掲示板への誹謗中傷

 【事例】

ホストラブ・爆サイ.comに、

不倫をしている・風俗嬢である・その他様々な侮辱を含む投稿が複数なされる。

投稿者を特定して賠償と謝罪を求めたい。(依頼者の希望)

【対応】

ホストラブ・爆サイ.comに発信者情報(特定情報、IPなど)の開示を求めたのち、

開示された4社のアクセスプロバイダ(携帯電話会社、インターネットプロバイダ)に対して発信者情報開示請求訴訟を提起。発信者は複数名いると考えられた。

訴訟中に発信者の1人に代理人がつき、発信者名を明かさない形での和解の打診があり、依頼者が謝罪文と今後一切依頼者に関する投稿をしないこと、賠償金の一括支払いを条件に和解をするとしたため、和解。

その他は、発信者情報が開示された後、賠償請求を行い、一括、分割支払いで賠償金の支払いをする内容で和解。

賠償請求に応じなかった1名については刑事告訴を行い、最終的には和解合意。刑事処分も受けた模様。

記載内容も考慮し、発信者には発信者特定のための費用(弁護士費用+実費)と慰謝料を請求、発信者の資力も考慮して減額した例もあったが、1名あたり20万円~100万円近くの賠償金支払いを得て、加害者5名合計300万円程度の回収、弁護士費用を控除してもプラスとなった。

 依頼者本人は、匿名で陰湿な誹謗中傷を受けたことで精神的に病んでいたが、加害者を明らかにして責任を取らせ、謝罪をさせた(和解の際に謝罪文の作成を条件とした)ことで、精神的ストレスがなくなり、前向きに生活できるようになった、これはお金に代えがたいとの感想でした。

【解説】

加害者1名の場合、慰謝料を含めた賠償支払いを得ても、加害者特手のために弁護士費用を考慮するとマイナスとなる場合も少なくないです。上記の通り、加害者が複数いる場合、それぞれの支払能力を考慮した和解金支払で十分な額となる場合もありますが、金銭面もさることながら、依頼者の精神面の解決も考慮して依頼されるかご検討ください。


瀬戸法律事務所 弁護士 瀬戸伸一(福岡県弁護士会)

2024年10月4日金曜日

隣地の他人の土地の通行が認められるか(相談、紛争事例)

  自宅のそばでいつも使っている道が他人の土地で、急に通行できなくなったとか

 自分の土地を売りたいが他人が通路として利用しているのでどうしたらよいかというような紛争や相談がよせられることがあります。

 他人の土地でも、公道まで自分の土地から繋がっていない場合は、囲繞地通行権が民法上認められます。また、他の土地の所有者との約定や時効取得により通行地役権が認められる場合もあります。どのような場合に、認められるかは、土地の取得、分割の経緯や通行状態の実態や使用した期間等によります。

 また、自動車が通行できるほどの幅の通行権がみとめられるかについては、最高裁判例があり、「自動車による通行を前提とする民法210条1項所定の通行権の成否及びその具体的内容は,公道に至るため他の土地について自動車による通行を認める必要性,周辺の土地の状況,上記通行権が認められることにより他の土地の所有者が被る不利益等の諸事情を総合考慮して判断すべきである。」(平成18年3月16日 最高裁判所第一小法廷判決)とされているので

これも場合によりけりというのが結論です。

 隣地紛争は、紛争が苛烈になると相手が近くにいることもあり思わぬ損害が生じることになったり、精神的ストレスが大きい事案ですので、専門家の第三者である弁護士に御相談、御依頼されるのが安心です。