2025年7月28日月曜日

着手金なし、完全成功報酬制の債権回収

 1 金銭債権(売買代金、サービス代金、請負代金等)で、支払義務について争いがなく、比較的多数の顧客を相手とする債権の回収について、当事務所では、着手金なし、完全成功報酬制で、御依頼を受けることも取り扱っております。※(実費費用はご負担いただきます)

2 こちらが提供した物には何の問題のないのだけど、代金をなかなか支払ってくれない顧客が一定数おり、継続的に請求行為をして債権の回収をしたいが回収できない相手に対して多額の費用はかけられないという企業、事業者様に有用かと思います。

3 請求する金銭債権について、相手方から支払義務に関する反論(抗弁、物・サービスに問題がある、契約条件が違うなど)がある場合は、一般の民事紛争事件の枠として、着手金なし、完全成功報酬制の対象外となります。

4 報酬額については、事前に、請求する債権について、その内容(請求数、請求額、もとの契約の種類など)に応じて、回収額の10~30%を標準として協議をさせていだきます。

5 オプションとして、一定のものについて裁判所を使った支払督促手続き(確定すると判決と同等の効果あり)をする方法もありますし、紛争が生じた債権については一般民事事件として回収業務・裁判請求業務も担当することも可能です。

6 会社・企業様からの請求では回収できなかった債権について、弁護士・法律事務所からの請求により回収に至ることや強制執行を想定した財産調査を行い、裁判手続をとることになる旨の告知をすることで早期回収につながることもあります。

 債権回収でお困りの方は、ご検討・ご相談ください。

 相手方1社のみの債権回収も一般民事事件として取り扱っておりますので、ご相談ください。

瀬戸法律事務所 弁護士 瀬戸伸一

御依頼を検討されている方の初回面談(事情聞き取り・お見積り)は無料です。


  当事務所では、御依頼を検討されている方の初回面談(事情聞き取り・お見積り)は無料です。

  御依頼者様の事情・その他の資料等を俯瞰的に見させていただき、御依頼者様のお困りごと、不満点、希望したい手続、手続にかける費用の予算などをお聞きした上で、取れる手続きの種類・内容・費用見込額等をご説明いたします。

 その上で、御依頼をされるかを決めていただければ結構です。


 瀬戸法律事務所 弁護士 瀬戸伸一


※ 御依頼することを全く検討されておらず、単にお困りごとについてアドバイスだけを受けたいという方については、当事務所では有料相談になります。

 上記の方で無料相談のみ受けたいという方は、弁護士会や自治体が実施している無料相談所をおすすめいたしますのでそちらをご利用ください。

 「(自治体名) 無料相談」、「福岡県弁護士会 無料相談」などでネット検索していただくと案内があると思います。 






2025年7月18日金曜日

国選刑事事件の思い出1

 1 もう、国選刑事事件について登録をはずしたので、現在は、国選刑事事件が配点されることがないのだけど、昔、それも弁護士になりたてのころの国選刑事事件について、記憶にのこっているものを書きたいと思います。

 記憶をもとにした私のメモ書きを生成AIで小説風にしてもらいました。



貧しき母子の弁護と情状

第一章:路傍の影、若き弁護士の憂い

福岡の街角に、まだ真新しいスーツの匂いを纏う一人の若き弁護士がいた。弁護士になって間もない頃、おそらく国選弁護人を担当した最初か二番目の事件だったと記憶している。被疑事実は窃盗。被害額は数千円から数万円程度と、決して巨額ではないが、その背後にある人間の営みは、彼にとって重い問いかけとなった。被疑者――仮に「彼」と呼ぼう――は、ホームレスだった。母親と共に、福岡の片隅にある公園に粗末な仮住まいを築き、日雇いの工事で細々と生計を立てていたという。

数ヶ月、仕事がない期間が続いた。空腹は彼らの唯一の、そして最も容赦ない追手だった。耐えかねた「彼」は、以前働いていた工事現場から道具を持ち出し、質屋で換金して生活費に充てたという。それは罪であり、彼はそれを否定しなかった。

接見室で、彼は真っ直ぐに弁護士の目を見た。「悪いことをしたとは思っています。食うためだったとはいえ、罪は償いたいです」。その言葉に嘘偽りはなかった。だが、彼の瞳の奥には、故郷や未来への諦念とは違う、もっと切実な光が宿っていた。「住んでいるところにいる母と、飼っていた犬が心配でなりません」。弁護士は、胸の奥に微かな痛みを感じた。罪を犯した彼の、あまりにも人間的な願いだった。

自白事件において、情状酌量を得るには、近親者を情状証人として呼び、今後の監督を約束させるのが通例だ。そう習い、また、そうあるべきだと思い込んでいた。しかし、彼らの住まいは公園だ。ホームレスである母親を、裁判所の堅苦しい場に呼んで良いものか。弁護士は迷った。彼らの尊厳を傷つけることにならないだろうか。しかし、「彼」は言った。「呼んでください。母が元気か心配なんです」。その言葉に、弁護士は決意した。

第二章:公園のテント、母の背中

母親との連絡手段はない。電話もない場所にいるのだから、直接公園へ赴くしかない。それは、弁護士にとって未知の世界への一歩だった。

「彼」は、弁護士が母親に会うことを心底心配していた。何も食べていないのではないか、と。弁護士は、近所の「ほっかほっか弁当」で幕の内弁当を二つ買い、ペットボトルのお茶を二リットルも携えて公園へと向かった。まだ夏を思わせる日差しが、アスファルトを揺らめかせている。

公園に着いても、どこにいるか見当もつかない。だが、「彼」は教えてくれていた。「僕の名前を出して、母親はどこかと聞けば、この公園のホームレスはみんな知っていますよ」。半信半疑で、近くにいたホームレスの一人に声をかけた。「彼の母親はどこにいますか?」。すると、男はすぐに答えた。「ばあちゃん? ばあちゃんはあそこのテントにいるよ」。

指示されたテントへ向かう。そこには、想像していたよりもずっと小柄な女性がいた。背中が丸まり、顔の深い皺が、彼女が背負ってきた人生の重みを物語っていた。これが、「彼」の母親、「ばあちゃん」だった。

弁護士は、彼の状況、彼がどれほど母親を案じているかを伝えた。そして、裁判の際に証人として少し話してほしい、と頼んだ。母親は、息子が捕まったことは人伝に聞いていたが、会いに行くこともできず、ただ案じるばかりだったという。話を聞き終えた彼女は、安堵したように見えた。「子供のためであれば、何でもします」。その言葉に、弁護士の胸は熱くなった。

裁判所へは地下鉄に乗らなければならない。往復の電車賃を渡し、一人で来れるか尋ねると、「公園の知り合いについてきてもらうから大丈夫だよ」と、彼女は小さな声で答えた。

話が終わり、持参した弁当と飲み物を差し出した。「彼も心配していました。よかったら召し上がってください」。母親は深々と頭を下げ、心から感謝の言葉を述べた。その姿を見て、弁護士は再び悩んだ。苦労を重ね、遠出もままならないであろうホームレスの彼女を、裁判所という厳かな場に呼ぶことは、本当に正しかったのか。だが、改めて「彼」に母親の様子を伝えると、彼は心底安心し、食べ物を届けたことに感謝した。母親もまた、裁判所に行きたくないとは言わなかった。ひょっとしたら、悩んでいたのは自分だけだったのかもしれない。

第三章:裁きの日の、犬の涙

裁判の日程が迫り、最終確認のため、弁護士は再び公園を訪れた。前回と同じように、弁当と飲み物を持参して。当時はまだ物価が安く、二つのお弁当と飲み物を買っても千円程度だった記憶がある。

再び会った母親は、前回の食べ物のお礼を言ってくれた。やはり持ってきてよかった、と弁護士は思った。母親には、裁判で話すことを簡潔に三点だけ伝えた。「息子が二度と犯罪を犯さないように監督すること。仕事ができるなら仕事をさせること。住む家や収入については役所に相談すること」。彼女は普通の会話はできるが、難しい話は分からないと繰り返す人だったから、最小限に留めた。

だが、その時、ある痛ましい事実が告げられた。前回いたはずの犬がいなかったのだ。母親は悲しそうに話した。保健所の人が来て、ちゃんとした家の飼い犬ではないからと、野良犬として連れて行ってしまったという。おそらく、処分されてしまったのだろうと。弁護士の胸に、重い鉛が落ちた。この事実が、「彼」にどれほどの衝撃を与えるか、容易に想像できた。

裁判当日、心配していた母親は、時間通りに裁判所に来ていた。証人は宣誓書に氏名等を書くのだが、彼女はひらがなしか書けないという。ひらがなで名前を書いてもらった時、書記官は困った顔をしたが、母親の姿を見て、何も言えない雰囲気だった。

裁判手続きは、自白事件の通例どおり、滞りなく進んだ。そして、いよいよ母親の尋問が始まった。弁護側からは、前述の三点を、二、三分で最小限に話してもらった。その後、検察側の反対尋問、裁判所の補充尋問へと移るのが常だ。通常であれば、検察官から「今回の事件も監督できなかったのに、今後本当に監督できるのですか!!」などと、厳しい詰問が飛ぶはずだった。しかし、この日の検察官も裁判官も、母親の佇まいを見て、厳しく問い質す気は全くないようだった。質問は一切なかったと記憶している。

次に、被告人質問へと移った。「彼」が証言台に立った時、弁護士は敢えて、処分された犬の話を尋ねた。その瞬間、「彼」は堰を切ったように泣き始めた。

「自分が捕まっていなければ、犬をどうにかして処分されないようにできたはずだ。捕まったことで、取り返しのつかないことになってしまった」。彼は嗚咽をこらえながら、二度とこのようなことはしないと誓った。そして、母親にも裁判所に来るような迷惑をかけたことを詫び、今は金がないが、仕事をしたり行政に相談をして生活を安定させ、いつか必ず被害弁償をしたいと語った。彼の言葉は、法廷に静かに響き渡り、傍聴席の誰もが、彼の心からの悔恨を感じ取った。

第四章:静寂の別れ、記憶の片隅

一週間か二週間後、判決が下された。結果は、執行猶予付きの懲役刑。彼は釈放され、自由の身となって帰っていった。弁護士は、それきり「彼」や彼の母親と会うことはなかった。

しばらくして、彼らが住んでいた公園について、耳にする機会があった。ホームレスの一斉退去作業が行われ、公園からは彼らの姿が消えたと。彼らが行政の助けを得て、どこか新しい場所で、ささやかながらも安寧を得られていることを願うばかりだった。

その後、弁護士は他にもホームレスの窃盗事件の国選弁護を担当することがあった。しかし、「彼」以外のほとんどは、独り身で前科もあり、刑務所行きがほぼ確定しているような事案ばかりだった。彼のように、母親に会いに行くようなことは、二度としなかった。

だからこそ、この事件は弁護士の心に深く刻まれている。貧しさの淵で、それでも互いを想い、小さな命を慈しんだ母子の物語。そして、彼らが踏み入れた過ちに対し、社会が、人が、どのような眼差しを向けるべきか。あの日の法廷で、犬の死を悔やんで泣き崩れた「彼」の姿と、ひらがなで署名した母親の小さな手が、今も、彼の胸の片隅に静かに息づいていた。


 瀬戸法律事務所 弁護士 瀬戸伸一

2025年7月14日月曜日

【解決事例】病院のgoogle口コミ、病院関連の口コミサイトに投稿された悪評の削除事例

 1 事案

 病院で患者、患者の親族が病院での診療に関する口コミを投稿。口コミ内容が診療に関する悪評価で、思い込み、主観によるところが大きく、投稿の表現も過激であった。

 google口コミも自動転載する口コミサイトにも掲載され、当該口コミ投稿があってから、明らかに病院の売上、来院者数が減少。

 口コミ投稿前に、当該患者関係者には病院から診療に関する患者の主張に対する説明等を行ったが、投稿が繰り返された。

 当該口コミを削除したい。

2 対応


  投稿者の実名は口コミに投稿されていませんでしたが、従前のやりとりから患者はわかっていました。患者の親族(同居)が投稿したであろうと思われましたが、患者とその親族宛に、文書を送付しました。

 内容は、投稿に記載された内容についての丁寧な説明、医学的説明、客観的事実を異なる部分の指摘、患者の気分を害された病院の対応の謝罪、投稿により病院に多大な損害がでていること、口コミ投稿の削除のお願い等です。

  本来的には、病院(医師)と患者・患者関係者が診療の際に十分に時間をとって話し合いや説明を行い、患者らと病院(医師)の信頼関係のもとに診療がされるというのが医療の在り方と思いますが、これが当事者の性格や時間の取れなさなどいろいろな事情により実現されないとこのような紛争を生みます。

  裁判所の手続を使った削除は批評については削除基準がかなり厳しい(削除されないことが多い)ので、まずは、当事者間で相互の考えを理解しあって円満に解決することが望ましく、弁護士は第1にその手助けをするという発想で対応をしたほうが解決になることが多いです。

  その口コミが削除されてもまた同じような口コミが投稿されればいたちごっこですし、投稿者の思いを病院が受け止めつつ、(病院からお願いをして)自発的に削除してもらうのが一番かと思います。

 上記のように対応をした結果、投稿者には、google口コミを削除してもらえ、病院関連の口コミサイトに対してもgoogleの口コミが削除されていることを理由として削除要請をして削除をしてもらいました。

 ただ、こういった事象は病院(医師)のコミュニケーション不足によることが原因のこともあり、原因からかえていないといけない場合もあるようです。

瀬戸法律事務所 弁護士 瀬戸伸一

2025年7月10日木曜日

インターネット被害に特化した顧問契約

  

 以下の通り、インターネット上の風評被害やその防止に特化した事業者様の顧問契約を承っています。(法人または個人事業主を想定)

1 顧問料・契約期間

 月額(契約期間:12ヶ月)/ 49500円 (税込)~


2 内容

 ① 法律相談

 ネット上の名誉毀損や風評対策に関する相談に限り、別途の費用なく対応します。

 ② 検索サイトにおける関連ワードの風評監視

    Google・Yahooの検索サイトにおいて、事前に定めたワードでの、検索結果(サジェスト、虫眼鏡など)を営業日ごとにモニタリング・監視します。

 ネガティブな結果が表示されていないか監視し、いち早く被害を確認することが可能になります。

 ③ 特に風評記事が投稿されやすいサイトの監視

  Google口コミや各種業界の口コミサイト、その他特に風 評記事が投稿されやすいサイト(事前に協議したもの)について、営業日ごとにモニタリング・監視します。

 ネガティブな情報が掲載されていないか監視し、いち早く被害を確認することが可能です。

 ④ 削除対応の特別設定料金

  ②③で見つかった記事については、顧問先による特別料金にて削除を行います。


※実費費用については、顧問会社様・御依頼者様にご負担いただきます。


瀬戸法律事務所 弁護士 瀬戸伸一

【期間限定】爆サイに対する削除請求の弁護士費用(特別料金設定)

  


爆サイ(バクサイ、爆サイ.COM)の削除請求について、爆サイの運営者の指定があったことに伴って、以下の通り、爆サイの記事削除について、特別の弁護士費用の設定をいたします。

1 任意(訴訟外)の削除要請

  1~10(レス)まで 

  着手金11万円(消費税込)

  ※御依頼スタート時にお支払いいただきます。

  報酬金  なし


2 任意(訴訟外)の削除要請(完全成功報酬制の場合)

  1レスあたり 報酬金3万3000円(消費税込)

  ※但し3レス以上からの御依頼になります。


3 訴訟提起による削除(上記1または2を取った後で)

  着手金 33万円(消費税込)

  報酬金 なし

  ※福岡在住で福岡地裁本庁が管轄となる方の場合


 当該御依頼を検討される方の初回の相談・お打ち合わせは、無料です。

 期間は3か月程度を想定していますが、本記事が当サイトに掲載されている間は、継続いたします。


瀬戸法律事務所 弁護士 瀬戸伸一

2025年7月7日月曜日

爆サイに対する削除、開示請求

1 爆サイ( https://bakusai.com/)は、現在は⽉間11億PV、MAU1500万⼈、1⽇投稿数約70万回、総クチコミ数約11億回までに成⻑したという。

 掲示板サイトでは日本一とうたっているようで、ネット掲示板の相談でも最近は5chよりも爆サイのほうが多いようです。

2 爆サイは、従前は、運営会社を公開しておらず、一方で、削除や投稿のIP情報等の開示については、裁判をしなくても、削除や開示をしてくれることがおおかったので、裁判手続を利用せずに対応することが多かったです。

3 しかし、爆サイが成長するにしたがって、削除や開示の請求件数も多くなったためと思われますが、昔は、数日で対応してもらっていたのが→14日以内の対応→14営業日(土日含まず)以内での対応→60日以内の対応と、だんだん対応を遅くなっていました。

 開示請求については、携帯電話会社がログをほぼ3か月分しかもっていないため、IP情報の開示が遅くなると特定できないということになります。投稿があってから1ヶ月で弁護士に相談にきても、弁護士が1日で開示の書類をまとめて対応をしても、爆サイが開示に60日もかかると、3か月間が経過してしまって、携帯電話会社を利用した通信だと特定できなくなります。

 このような害がおきるようになったことから、裁判所をつかった手続により一定の強制力のある対応が必要になりました。

4 これまで爆サイの運営会社が公開されておらず、裁判手続きがとりにくかったのですが、令和7年5月30日に総務省が、「情報流通プラットフォーム対処法第20条第1項に基づく 大規模特定電気通信役務提供者の指定」として、株式会社湘南西武ホームが、爆サイ.comの運営者であるとしましたので、裁判手続がほかの通信会社と同様に容易になりました。

5 一方で、これまで裁判手続となるような紛争をさけようとしていたためか爆サイの開示や削除の判断はゆるやか(他社よりも対応してもらいやすい)であったのですが、裁判手続が容易になったためか、判断が厳しくなったという話も耳にします。

6 いずれにせよ、対応の選択肢が増えたことはよいことです。爆サイで誹謗中傷・名誉毀損やプライバシー侵害等の被害を受けた方で、削除や犯人の特定をしたい方は、瀬戸法律事務所までご相談ください。

 ご本人が開示や削除の申立を爆サイにしたが駄目だったという場合でも、弁護士から(要件や理由を明らかにして)請求をした場合には開示や削除がなされたという例も多くあります。

瀬戸法律事務所 弁護士 瀬戸伸一

2025年6月30日月曜日

【解決事例】撮影のみ同意をして撮影した裸の動画を無許可でインターネット上に掲載された事案の損害賠償

 1 事案

 風俗店(デリヘル)に勤務する被害者Aさんは、加害者の客Bから何度も指名をうけ、オプションサービスであるサービス中の動画撮影をしていた。動画撮影は、客自身のみが楽しむためのものであり、第三者へ見せたりインターネット上など外部への掲載・漏洩は厳に禁じられておりBはこれに承諾して動画撮影サービスを利用していた。

 Aさんは、インターネット上の素人動画掲載サイトに自分の顔は映っていないものの自分とわかる(体のホクロやタトゥの位置、声色、その他)動画が複数掲載されているのを発見し、動画の削除と慰謝料等の損害賠償請求を希望した。

 なおAさんは同店でBにしか動画撮影サービスを提供していなかった。

2 対応

 警察に刑事告訴前提の被害相談を実施しました。

 同意を得て撮影した「性交又は性交類似行為に係る人の姿態」の動画のインターネット上での不特定多数への提供は、「私事性的画像記録の提供等による被害の防止に関する法律」の私事性的画像記録提供罪(三年以下の拘禁刑又は五十万円以下の罰金)に該当します。

 証拠の保全後、AさんがBの携帯電話番号及び実名を知っていたため、Bに対して、動画の削除及び損害賠償請求を求めました。

 Aさんの希望に沿って賠償請求を行い、相手にも代理人弁護士がつき、交渉を重ねた結果、賠償金200万円、動画のインターネット上からの削除、Bが保有するAさんの動画の全削除、インターネット上にAさんの動画が再度掲載、漏洩した場合の違約金、お店の利用及びAさんへの接触・連絡禁止、刑事告訴をしない・取下げる等の条件で示談をいたしました。

3 その他コメント

 相手の同意なく相手の裸や下着等を撮影する行為は、「性的な姿態を撮影する行為等の処罰及び押収物に記録された性的な姿態の影像に係る電磁的記録の消去等に関する法律」の性的姿態等撮影罪(三年以下の拘禁刑又は三百万円以下の罰金)で前述のものより処罰が重いです。

 同意を得て撮影をした性的な動画も、同意をえずにインターネット上にアップロードする(第三者が見る形で)と処罰の対象になりますので絶対にしないようにしないといけません。

 もともと密室で、外部に漏れない形で行われるべきサービスの類であり、その違反があった事件ですが、刑事裁判や民事裁判といった外部への事案の公表がなされる手続の前に、当事者間で迅速に示談解決できたのは、被害者にとってもベターな解決であったのではないかと思われます。

 瀬戸法律事務所 弁護士 瀬戸伸一


※事案紹介全般において、特定を避けるため、事案内容を脚色している部分があります。


 

2025年6月25日水曜日

【解決事例】爆サイでの誹謗中傷被害について告訴及び発信者情報開示を行った事案

 1 事案

 ある県で爆サイの地方板で、被害者が不倫をしているという虚偽の内容を具体的事実を含んで繰り返し投稿するという被害があった。

 被害者及びその配偶者はとても怒っており、犯人を特定して警察に突き出して処罰も、賠償も絶対にさせたいとのこと。

 ※開示命令手続が創設される前の事案

 

2 対応

 管轄の警察署に被害届提出。爆サイへ発信者特定のための開示請求。爆サイからIP等の開示があり、アクセスプロバイダ(携帯電話会社)へ開示請求及びログ保存依頼(訴訟外)。

 アクセスプロバイダが加害者へ意見照会をした際に、当方の請求内容、刑事告訴等の事情を加害者が目にし、加害者が警察に自首。警察からも賠償等の進捗を見てから刑事処分の判断をしたいとのことで、まずはアクセスプロバイダに発信者情報開示の同意をして開示費用が増えないようにすることを要求。発信者情報が開示され、加害者の氏名・住所が判明。

加害者と交渉。被害者(依頼者)は加害者が近所にすむ住人であったことから加害者の引っ越し等の要求もあったが、もろもろ交渉の結果、慰謝料300万円+投稿の削除費用、加害者特定のための弁護士費用の合計を賠償、今後被害者及びその家族に近寄らない、被害者らに関する投稿を今後しない、違反した場合の違約金設定等の示談条件にて示談(和解)。加害者の刑事処罰についても、告訴を取り下げたことから処罰なし。


3 コメント

加害者が被害者の近所で、近所付き合いも密接な地域であろうと思われる地域であったことや加害者も一定の社会的地位があったことから、刑事処分を受けたり、事件の内容が外部で公開される事態は避けたかった模様。

 被害者らの怒りは相当であり絶対に刑事処分を受けさせたいとの思いもあったが刑事処分が明らかになると事件の内容も近所に明らかになり、被害者らのプライバシーについても一定程度害されるおそれもあったことから、最終的には、金銭支払で刑事告訴なしという示談で決着しました。

 賠償金額については、裁判基準でいうと、慰謝料という名目ではここまでの賠償額は一般に認められにくい。一方で、加害者としても刑事罰を受けない、周りに知られずに事件を穏便に解決したいという利益があり、裁判基準より高額の示談となりました。私見では、裁判所が認定する慰謝料の額は低額すぎるし、被害者家族の長期間の苦悩や仕事や健康に及ぼす影響を考慮すると高くなく相当な金額ではないかと感じた事件です。

 裁判によらない賠償金額は、当事者の合意ですべて決まるもので、事案の内容にもよりますが、被害者の立場、加害者の立場・資力等によって大きく異なります。最近の有名芸能人の事案では、示談金数千万円という話も出ており、これは加害者の資力が高いためと事件を外部にもらさず解決するということを想定したためと思われます。

2025年6月16日月曜日

ネット投稿の加害者になり開示請求の照会を受けた場合の対応

  


当事務所では件数は多くありませんが、インターネット上の投稿をしたことにより加害者であるとして、被害者が開示請求手続きをとった場合の意見照会の対応もしています。

 被害者がインターネット上のコンテンツプロバイダ(掲示板、SNSサービス提供者)や通信会社に開示請求をすると、当該会社が投稿者の契約情報(氏名、住所その他)を知っている場合は、その投稿者について、開示請求があったことと開示請求についての意見照会をすることになっています。

 このときに、開示に同意をすると回答すると、これらの会社は開示に同意があったとしてすぐに開示をすることが多いです。被害者と加害者である程度やりとりがあって開示手続に時間をかけないほうが開示費用の関係でよい場合はこの対応をとることもあります。

 しかし、一般的には、開示をしてほしくないと考えるのが通常でしょう。コンテンツプロバイダや通信会社は、開示には消極的ですが、裁判手続となり裁判所から開示を命じられた場合は開示をします。一方、コンテンツプロバイダや通信会社は、被害者からの開示の申立について反論する資料等をもっていないのが通常です。このため、照会があった場合の意見書において、開示をするべきでないという事情を記載し、できれば証拠資料もつけて提出したほうが開示を阻止できる可能性が高くなります。

 この開示をするべきでないという意見においては、開示の要件である権利侵害の明白性がないという争い方がメインになりますが、その内容については法律的要素が大きいので弁護士に依頼をして意見書の作成をしたほうがよいでしょう。

 また、発信者情報開示が裁判手続になっている場合は、その手続に、利害関係人として参加したり、記録を謄写したりすることもできます。その際、通常は、裁判手続きにおいては、氏名や住所を被害者にも明らかにしなければなりませんが、近時の法改正により、「住所、氏名等の秘匿制度の創設」がなされましたので、住所・氏名を被害者に秘匿した状態で裁判手続に関与することも可能になっています。

 開示請求手続きの意見照会がきてお困りの方は、瀬戸法律事務所までご相談ください。

 瀬戸法律事務所 弁護士 瀬戸伸一

2025年6月10日火曜日

X(旧Twitter)の開示対応が遅すぎる、裁判所の執行も怠慢

1  X(旧Twitter)の開示対応が遅すぎる、裁判所の執行も怠慢というお話です。


2 X(旧Twitter)が発信者情報開示命令が出ても開示しない、1ヶ月経過して確定しても開示しない、

 間接強制の強制執行を裁判所に申し立てても、裁判所がこちらが問い合わせをするまで何も対応しない、裁判所の指示どおりに書面等は送付しているのに、1ヶ月以上も放置、どうなっている?とこちらが問い合わせをするとやっと、「今週催告書送った」とかいう。絶対連絡いれるまで何もしてなかったやろう、そば屋の出前か!!という感じであきれる。

 裁判所もほっといたら開示されて取下げになるだろうという考えなのだろうか、ほっといて開示されないから強制執行してるのだとなぜわからない。

 まあ、開示しないX(旧Twitter)が悪いのだけど、裁判所がすみやかに対応していれば、X(旧Twitter)の態度もかわってくるだろうと思うし、裁判所も軽めの幇助犯。

 他の弁護士も X(旧Twitter)は対応遅すぎると言っているし、執行まで必ず必要として今後は受任をしないといけないだろうと思われます。

瀬戸法律事務所 弁護士 瀬戸伸一

2025年6月3日火曜日

キャッシングの消滅時効、貸金業者の提訴、公示送達

  先日、裁判所に久しぶりに行きました。WEB期日が一般化して裁判所庁舎に行く機会が減りました。

 裁判所の端に、公示送達の公示のための掲示板があり、昔はA4の紙で表示してたのに、今はA5の紙に2枚表示(大きさ4分の1)で表示している。誰も見てないだろうというためか、掲示場所が足りないためか。

 それで、前からある福岡の貸金業者しんわが公示送達で提訴してたのを見て、むかし、消滅時効にかかった貸金債権で提訴してたな、またやっているのかと思ったけど、今、普通に貸金業務再開しているみたいです。

 まあ、貸した金を返さないほうが悪いんやけど、貸金が仕事で、適正な貸付が義務付けられている貸金業者で、消滅時効にかかるまで法的回収をしなくて、消滅時効完成した後に多大な利息・遅延損害金を付加して請求する(回収の見込みがあると何らかの情報をもって行う)のは、やっぱ相当じゃないでしょう。

 けど、時効援用があるまで債権自体は存在するというのが法律ですから、消滅時効完成した貸金債権でも、提訴されてそのまま争わないと支払えという判決が出て、確定すると、もう消滅時効であるとはいえなくなります。

 このため、提訴された段階で消滅時効を援用しないといけません。

 また、住民票を引っ越しの際にきちんと動かしていないと所在地不明ということで公示送達を受け、提訴されたことをしらないまま判決がなされることもあります。

 キャッシングで最終取引から5年経過していたら消滅時効が完成している可能性がありますので、弁護士に相談をして確認し、消滅時効完成していれば援用手続きをしましょう。これで晴れて債務なしになります。


 瀬戸法律事務所 弁護士 瀬戸伸一

 

2025年5月30日金曜日

企業の口コミ・インターネット投稿被害対応における警告書送付の効果

 1 想定事例

  googleの口コミやその他インターネット掲示板で、当会社 について誹謗中傷・根拠のない書き込みがなされており、売上が減少している。

 この前は、銀行に融資を申し込んだところ、今までは融資に応じてもらっていたのに、「理由は答えられない」といわれ、融資を受けられなくなった。これも上記のインターネット被害が原因ではないかと思われる。

 上記の口コミや投稿を削除したい。記事は匿名であるが、書いた相手が内容から特定できている。

2 対応

 上記のように、口コミや投稿被害を受けている場合で、投稿者が誰であるかわかっている(ほぼわかっている)場合は、その相手に直接警告書・要望書等の連絡を行うことで、早期に口コミや投稿を削除させることが期待できます。

 投稿した者も、一時の気分で投稿をしたり、会社に大きな影響はないだろう、自分が責任を問われることはないだろうと安易に考えて投稿をしたりすることが多く、会社の被害が大きいこと、投稿者に、刑事(名誉毀損、信用毀損、業務妨害)責任が問われる可能性があること、民事責任(損害賠償義務)が問われる可能性があることを指摘して削除するように求めると、正常な判断ができる多くの人の場合は、削除に応じてくれます。

 削除をサイト管理者に求めることも考えられますが、サイト管理者が削除をするという基準はかなり厳しく、任意にサイト管理者が削除をする確率は結構低いです。

 裁判所にサイト管理者に削除をするよう申立(削除訴訟、削除仮処分)をすることも考えられますが、裁判所を使う手続は、時間も手間も費用もかかりますので、最終手段として考えたほうがよいでしょう。

 警告書送付も、当事者が自分で送付をしても、相手は通常の連絡と同じと受け取って削除に応じないことが多いですが、弁護士を通じて行うと、こちらも本気で訴訟や告訴等の法的手続をとるつもりなのだ、と相手が真剣に受け取り、削除に応じることが多いです。

 投稿した相手がわかっている場合のインターネット被害については、早期に、当事務所にご相談ください。

 瀬戸法律事務所 弁護士 瀬戸伸一


2025年5月26日月曜日

大量広告事務所による債務整理による被害について・当事務所の債務整理方針

 1 債務整理被害ニュース

  不適正な債務整理を行う司法書士事務所、最近では、弁護士の法律事務所でも不適正な債務整理を行うために、債務者が被害を負う事例が増え、ニュースにもなっています。

 不適正な債務整理200件 弁護士広告巡る被害

2 債務整理方法

 債務の全額を契約どおりに支払えなくなった人は、支払不能状態で、適切な債務整理を行うことによって正常な生活をしながら債務処理できるようにしなければなりません。

 方法としては大きく、個人について・任意整理(支払方法を変更して、原則として債務全額を支払う)、・自己破産(裁判所に申し立てをして、債務全部を免除してもらう)、・個人再生(裁判所に申し立てをして、債務の一部を分割で支払い、残りを免除してもらう)という3つの方法があります。

 任意整理で余裕をもって完済が見込めないのに、任意整理をしたりすると、後々支払いできなくなって、別の手続をとらなくてはならなくなり、改めて弁護士費用を支払う必要がでたりします。

 ですので、債務整理の初めに、収支や資産状況を良く見極めて、適切な債務整理の方法を見極める必要があります。

3 当事務所の債務整理方針

 当事務所では、もちろん相談者の方の希望に沿うような方法をできる限り提案したいのですが、完済が見込めない無理な支払スケジュールの任意整理は絶対提案しませんし、どうしても個人再生や自己破産では目的を達成できないというのであれば、相談者が実現可能な別の方法を模索・提案します。

 自己破産については、昔からよく言われていたような、選挙権が無くなるとか、家財道具が全部なくなるとかいったことはありません。職場や親族にも特別な事情がない限り知られません。

 浪費等があると自己破産について免責不許可事由があることになりますが、事案によってはこの場合でも免責をうけられることがありますし、浪費があっても、3年間で債務の20%または100万円の高い方の分割払い(月額3万円~4万円弱を分割支払いする人が多いです)をする個人再生手続がとれます。

 また、住宅ローンがある人でも、個人再生手続をとれば、住宅を残して、ほかの債務を圧縮(一部債務免除)できます。

4 当事務所の債務整理 弁護士費用等

 当事務所では、非事業者の自己破産手続について 弁護士費用 33万円~、個人再生手続について 弁護士費用44万円~、いずれも手続自体の成否による報酬金なし、でお受けしています。(別途、裁判所納付の実費費用3万円や、管財人、再生委員がつく場合は20万円程度の裁判所予納金が必要になります)


5 浪費の方の手続選択

 特に浪費があった方については、自己破産を申し立てても、免責不許可となる可能性がある上に、管財費用として20万円が確実にかかりますし、免責を得るために積み立てとして何十万か裁判所に納めたりすることもありますので、最初から個人再生手続をしたほうが、初期の弁護士費用のほかは、毎月の分割返済だけで済むというメリットもあります。

6 お気軽にご相談ください

 当職は、これまで、債務整理・自己破産・個人再生・法人債務整理等100件以上こなしてきており、受任したものについては、いずれも依頼者様の希望にそう結果になっているものと自負しております。

 債務整理でお困りの方については、まずは、お気軽にご相談ください。できる限り希望に沿う解決策を提示いたします。

 瀬戸法律事務所 弁護士 瀬戸伸一

 


 

 

2025年5月20日火曜日

開示請求 特別弁護士費用設定(期間・件数限定)

  先日の記事にも書きましたが、各種SNS事業者や通信業者の対応が遅く、開示手続に、時間と手間がかかるため、また、発信者特定の可能性をあげるために複数の手続をとるために、弁護士費用が高額になるという面があります。

 コンテンツプロバイダといわれるSNS事業者(発信者の電話番号や氏名・住所情報を保有しているもの)に対して、裁判所をつかった開示命令の申立のみで、発信者を特定するのが、相対的に手間が少なく迅速ではないかと考えているところです。

 このため、開示命令の申立のみで発信者を特定するという御依頼について、期間・件数限定で、着手金33万円(税込)・報酬金なし・実費別途依頼者負担という委任条件で御依頼いただける方を募集いたします。

その他、東京地裁管轄(ほとんどの場合相手方住所の関係で東京地裁管轄になります。)、投稿記事は、長文でない1投稿を原則とする、開示の相手方は、発信者の電話番号や氏名・住所情報を保有している事業者に限定します。

上記以外の条件のものは、行う手続に応じて通常の当事務所報酬基準にてお受けいたします。

 上記条件の期間については、おおむね本投稿から1ヶ月以内、2件以内程度を考えております。

 上記の条件での受任は、受任前に内容のご相談・お打ち合わせを実施してからの委任契約締結になります。

 発信者特定時の報酬金なしというものはあまりないと思いますので、上記条件で発信者特定の依頼をしたいという方は、よろしくお願いいたします。瀬戸法律事務所まで御連絡をお願いいたします。

 瀬戸法律事務所 弁護士 瀬戸伸一

債権回収の依頼のメリット・デメリット

 1 質問

  債権回収をしたいのですが弁護士に依頼をするメリットはありますか、デメリットはありますか?


2 回答

弁護士に債権回収を依頼するメリットは、以下の通りです。

① 仮差押などの裁判所を使った保全手続ができる、訴訟・強制執行などの法的手続きがとれる

時間をかけて交渉して回収をするか、保全手続きをとるか、裁判により回収を行うべきかについては、相手の資力や事案の内容等によって、大きく異なってきます。

保全手続である仮差押の決定がでたらすぐに支払ってきたという場合も多くあり、話し合いで解決できない場合、これらの法的手続きを行うことが重要です。

また競合する債権者がいる場合は、他者に先駆けて回収行為を行うことが重要です。

② 相手へのインパクト

 当事者からの請求では全く支払わなかった相手でも、弁護士から督促を受けるとすぐに支払ってくるということは、少なからずあります。

 これは、弁護士に依頼をするということは、その分だけ請求者側も本気である、費用をけているので支払いをしない場合は裁判や保全手続きをうけてしまい、最終的には支払わないといけなくなる等を考えて支払うのではないかと思われます。

 そのため、弁護士名で内容証明郵便による請求文書を送るということがまず最初に行う回収行為でしょう。

 弁護士による請求があったということでプレッシャーを感じて支払いがなされるという効果はそれなりに期待できます。

 また、支払いをしないということについて、支払義務があることは認めるが、請求者に対して不満があるという場合もそれなりにあります。

 このような場合に、相手方の不満を十分に聞いてそれを請求者本人に伝えると約束しただけで支払いをしてもらえることもありますし、不満内容の解消が請求者側にとっても将来的に都合がいい場合はそれを迅速に改善して支払ってもらうよう和解をするなど、専門家である弁護士が間に入ったためにスムーズに解決するというケースもあります。

③ 回収の時間・労力・手間を減らせる

 売掛金等の債権回収業務は、通常業務とは別の業務であり、本来の業務に充てる時間を債権回収に割かれてしまうと、企業としての生産性・効率の悪化につながります。

 また、債権回収に不慣れな者の場合、何を行っていいかもわからず、何を行うべきかを調べるために、多くの時間や労力を費やすことにもなりかねません。

 会社組織の場合、担当者が、回収できないのは自分のせいではないか、自分の評価に影響するのではないか、相手方と支払いの話をするのが気が重いなど考え、精神的な負担を負うことも考えられます。

 弁護士への依頼によって、これらの負担を大幅に軽減することができます。弁護士に依頼をして回収できなければ、だれも回収できなかったとあきらめもつきます。


一方、弁護士に依頼をするデメリットもあります。

弁護士依頼した場合のデメリットとしては、弁護士費用の負担、相手との関係悪化があります。

1 弁護士費用

 弁護士費用については、依頼スタート時に着手金と実費が必要になり、最終的に回収ができなかった場合でも、これらの費用は依頼者負担になりますため、回収できなかった場合は、弁護士に依頼をせずに回収をあきらめた場合より、実質回収額はマイナスになります。

 これは裁判で勝訴したものの、強制執行で回収できなかった(相手に財産がなかった)場合も同様です。

 成功報酬は、回収額に応じて定まることが多く、回収額が多ければ弁護士費用を上回る結果になりますが、回収額が少なければ、実質回収額がマイナスになることもあります。

 回収の見込みの見極めが大切になります。そのためには、できるだけ正確、詳細な情報が必要になります(相手方の営業内容、資産等の情報、請求する債権について相手方の反論等があるか等)。

2 相手方との関係の悪化

 特に継続的な取引をしている間柄の場合、弁護士が表に出て請求行為を行うと、相手との関係が悪化する場合があります。

 一方、事案によっては、弁護士による請求を行っても関係悪化しない場合もあります。

 従前担当者と相手方で話あったが合意に至らなかったので、円満な話し合いによる解決を求めるために、まずは弁護士による請求行為を行って窓口を弁護士として交渉を継続するというスタンスを明確にして行う場合などです。

 しかし、弁護士に債権回収を依頼しようと考えるケースでは、当事者間の信頼関係が悪化しており、継続取引は希望しない、関係悪化しても問題ないという場合がほとんどではないかと思われます。

 相手方との関係悪化は、それほど問題にならないでしょう。


 いずれにしても、債権回収は時間が経過すれば回収の見込み・可能性も下がっていきます。お早目に相談ください。

瀬戸法律事務所 弁護士 瀬戸伸一

2025年5月19日月曜日

5ch 2ch(5ちゃんねる、2ちゃんねる)の削除方法

1 質問 

  5ch 2ch(5ちゃんねる、2ちゃんねる)の削除依頼方法は?

2 回答



5ch.net  2ch.scとも、サイトが定める削除ガイドラインがあり、

5ch.net 削除ガイドライン    2ch.sc 削除ガイドライン

これに従って任意削除の要請をします。削除の可否や削除要請の方法等細かく規定されています。

相談で多いものは、①氏名・住所・電話番号等の個人情報の削除をしたい、というものと、②犯罪行為の報道・投稿について不起訴となった、長期間経過したので削除をしたい、というものですので、この2点について取り上げようと思います。

5chですとガイドラインに

個人の取り扱い

定義

一群

政治家・芸能人・プロ活動をしている人物・有罪判決の出た犯罪者

二類

板の趣旨に関係する職業で責任問題の発生する人物

著作物or創作物or活動を販売または提供して対価を得ている人物

外部になんらかの被害を与えた事象の当事者

三種

上記2つに当てはまらない全ての人物

削除対象 *

個人名・住所・所属

一群:

公開されているもの・情報価値があるもの・公益性が有るもの・等は削除しません。削除の可否は統括が判断します。

二類:

外部から確認できない・責任や事象に無関係な情報は削除対象です。公開されたインターネットサイト・全国的マスメディア・電話帳で確認できる・等、隠されていない情報については削除しません。

三種:

誹謗中傷の個人特定が目的である・文意により攻撃目的である等の場合は全て削除対象になります。

電話番号

電話番号は、一部伏字・それを示唆するような文字列・等でも、確認方法が確立していない為に原則として全て削除対象です。

明らかに公的な物・投稿者がハンドルキャップ使用・文意によって本人が公開したと判断できるもの・リンク先で確認できるもの・等は、自己責任として削除されないことがあります。

メールアドレス

騙りの可能性や悪意が明らかで攻撃を目的としている・趣旨説明が無く衆目に晒すことを目的としている・等の場合のみ荒らし依頼として扱います。メール欄に書かれていても同様です。判断は文意によります。

誹謗中傷

一群:

統括裁定の無い限り削除しません。

二類:

板の趣旨に則した公益性が有る事象・直接の関係者や被害者による事実関係の記述・等が含まれたものは削除されません。

三種:

個人を完全に特定する情報を伴っているものは削除対象です。

私生活情報

情報価値が無く、私事のみの情報・第三者の確認できないプライベート情報は、個人が完全に特定されなくても、対象者に不利益が発生する可能性があれば、一律削除対象とします。

とあります。

① 個人情報の削除

個人情報等の投稿について、個人三種にあてはまる人については、広く削除対象になります。誹謗中傷も個人を特定する情報を伴っているものはほとんど削除されます。

 なんらかの事故や事件を起こした人、メディアに出ている人、政治家については、基本放置になりますので、この場合の多くは、裁判による削除が必要になってきます。

② 犯罪行為の報道・投稿の削除

 ですが、犯罪報道があったものの不起訴となった場合は、削除をしてくれやすくなります。不起訴といっても、犯罪事実は認められる起訴猶予や犯罪事実についてあやしいという嫌疑不十分、犯罪事実がないという嫌疑なしまであり、不起訴処分告知書にはこの起訴猶予、嫌疑不十分、嫌疑なしの内容まで記載されないことも多く、さらに、嫌疑なしとはなかなか検察庁がしないため、不起訴になっていれば即削除を認めてもらえるということでもありません。削除人の判断では、嫌疑なしであれば即削除をするような話もありますが、上記の区別がない、起訴猶予、嫌疑不十分という場合は、犯罪の種類、内容、本人の更生、投稿からの経過期間、削除の必要性、を総合考慮して決定しているようです。

 任意の削除が認められなかった場合は、裁判所に削除の申立をしてもらうことになります。裁判所が削除が相当と判断したものについては、5ch 2chとも従っているようです。


 とはいえ、投稿者本人が削除要請をするのはかなりハードルが高いと思います。

 5ch 2chに掲載された情報は、googleの検索結果にも残っていることも多く、これらの削除のためにも、専門家である弁護士に依頼をしたほうがよいと思います。実際に、当職が担当して削除がなされた事案でも、「自分で削除要請をしてみたが全く削除されなかった」というお話はよく聞きます。

瀬戸法律事務所 弁護士 瀬戸伸一




SNS事業者 通信プロバイダの対応の遅さ

ネットのひぼう中傷 SNS事業者に迅速な対応求める改正法 施行(NHK)


 SNS事業者や通信プロバイダに対して、裁判所を使った開示請求を行っても、対応が極めて遅いです。

 提供命令がでても、1ヶ月以上動きがないこともざらであり、しびれをきらした裁判所からの連絡がいってやっと動き出したというようなことも少なからずあります。

 このような状況ですので、IPアドレスルートによる発信者情報の開示は、AP(アクセスプロバイダ)が携帯電話会社(ドコモ、AU、ソフトバンク、楽天)だったりすると、ログを3か月程度しか保有していないので時間切れになるので、絶望的です。

 IPアドレスルートをとるのであれば仮処分手続きによるほかなさそうですが、仮処分手続きを開示命令申立といっしょにすると1ヶ月以上先の同じ期日にいれられるので、仮処分だけ先行させたほうがよいということになります。

 また、X(旧ツイッター)は、仮処分決定がでても開示をしてこないので、仮処分決定がでたらすぐに強制執行の手続にはいらないといけません。これが2週間以内という期間制限があるので、関東以外の弁護士事務所は大変です。

 本来なら、被害がありそうな投稿については、投稿者が誰かについては裁判手続きの負担なく特定できてしかるべきと思いますが、現在の法律、実態は全くそのようなことはなく、特定に費用や手間、時間がかかり、これらをかけないとすぐに誰かわからないという状況になります。


 瀬戸法律事務所 弁護士 瀬戸伸一

2025年2月27日木曜日

不起訴処分告知書の取得方法(不起訴の場合のネット記事削除に必要)

1 不起訴処分告知書とは

 刑事事件で、逮捕・勾留になった場合や身柄拘束されていない場合でも検察庁で被疑者として取り調べを受けた場合で、不起訴になった場合は、不起訴処分告知書という証明書を取得することができます。(刑事訴訟法259条)

 インターネット上での逮捕・勾留の記事を削除要請するために、不起訴処分告知書を利用することが多く、不起訴になった場合は、不起訴処分告知書を取得しておいたほうがよいです。

2 不起訴処分告知書の取得方法

 私選弁護人(自分の費用で弁護人を選任した場合)がついている場合は、当該弁護人に依頼をして不起訴処分告知書を取得してもらうのが早いと思われます。

 国選弁護人の場合は、不起訴=身柄解放で弁護人の職務が終了するので、不起訴処分告知書の取得については、別途の依頼(費用も)必要になるかもしれません。

 不起訴処分告知書は、被疑者自身でも取得できます。捜査があっていた検察庁に問い合わせの連絡をして、不起訴処分告知書を取得したい、手続きについて教えてほしいと依頼をしてください。

 本人確認のために検察庁まで足を運ばないといけない例が多いようですが、郵送でも対応可能なこともあるようです。

3 その他

 逮捕記事等のネット記事削除に追加して、不起訴処分告知書の取得手続の代理も当事務所では承っております。

 代理で行う場合は、ご自身で請求される場合よりも少しお時間をいただく場合がありますので、お急ぎの場合は、ご自身で取得されることをお勧めいたします。

瀬戸法律事務所 弁護士 瀬戸伸一

2025年2月26日水曜日

仮差押を受けた後でも消滅時効主張できます【事例】

 1 事案

 10年以上前に、物品を分割ローンで購入したが支払えなくなった。その後、ローン会社から請求を受けていたが請求もこなくなったのでそのままにしていた。裁判等は受けていない。最近になって、このローン会社から債権の譲渡を受けたという会社が私の親(すでに死亡)名義の不動産に相続登記をし、私の不動産持ち分に仮差押をした。

 ずっと昔の話であり、遅延損害金の額も大きいので時効で支払わないということはできないだろうか。

2 対応

 最近は民法改正があり消滅時効の期間の変更もありましたが、改正前民法においても、10年間経過していれば時効中断がない限り消滅時効が完成しています。

 消滅時効の完成後に、債権者が仮差押をしても(消滅時効の援用をするまでは債権としては残っているので仮差押自体はできます)、その後に消滅時効の援用をすれば、債権が消滅しますので、仮差押も消すことができます。

 しかしながら、このような債権者は、仮差押をした後に、いくらかでも支払ってほしいと言って、1万程度の少額(全体額で数十万円など)な請求をして弁済を受けます。一旦支払ってしまうと、権利の承認(民法152条1項。債務の承認)となってしまい、消滅時効の援用ができなくなります。

 旧法下では、サラ金会社等が、消滅時効にかかった債権について、脅して支払いをさせたり、1000円程度の極めて少額な支払いをさせたという事案で、債務の承認にあたらないという判断がされた事案もありますが、基本的には、弁済(支払)をすると、消滅時効の援用ができない、争いが生じることになりますので、支払はせずに、弁護士に相談をするのがよいです。


瀬戸法律事務所 弁護士 瀬戸伸一

2025年1月21日火曜日

ネットの記事削除・発信者情報開示請求なら瀬戸法律事務所へ

  当事務所は、福岡県でインターネット関連の法律問題を取り扱う弁護士が少なかったころから、インターネット上の誹謗中傷行為に対して、削除請求・発信者情報開示請求、損害賠償請求、刑事告訴等を行って対応をしております。

 福岡県弁護士会のIT委員会の委員長もかつて務めており、現在も、ネット上の誹謗中傷、名誉毀損、プライバシー侵害行為に対する対応を専門的にしております。

 相手方が判明している場合、判明していない場合、依頼者様のご要望に沿う解決方法をご提示いたしますので、お気軽にご相談ください。

 瀬戸法律事務所 弁護士 瀬戸伸一

【解決事例】過去の逮捕歴・犯罪歴・前科のネット投稿(報道)の削除

【事案】
 10年前の逮捕報道に関するツイッター上のツイートがなされており、当該逮捕事件については、不起訴(嫌疑不十分)となっていた。
 下記のニュース報道参照。当事務所が対応した事案です。
https://www.asahi.com/articles/ASSCV45RQSCVTIPE01DM.html


【対応】

 複数のツイートがなされており、連絡がつく管理者には任意の削除を要請して削除される。

 年月が経過し管理者がいない(連絡がつかない)アカウントのツイートについては、Xのサイト上からの削除要請、プロバイダ責任制限法ガイドラインによる削除要請をX社に行ったが削除されず。

 訴訟を提起して削除請求を行った。代理人がついたX社は請求を認めるわけではないが激しい反論は行わず、1期日での結審となり、削除の認容判決が出て確定した。X社は速やかにツイートの削除を実施した。

【関連】

2022年に、10年前に逮捕された男性の、ツイッターでの逮捕歴の削除について、最高裁第二小法廷(草野耕一裁判長)は、削除を認める判決を言い渡しています。

https://www.asahi.com/articles/ASQ6S6WWSQ6SUTIL02G.html

この事案は、建造物侵入で男性は略式罰金刑となっているため有罪であった事案です。

 不起訴となった事案については、無罪推定がある日本国の法律制度では、無罪と同様に取り扱うべきであり、逮捕報道がなされると一般的には犯罪を犯したと受け取る人が多いことを考えると、逮捕報道は削除されるべきでしょう。

 また、逮捕の報道をするのであれば、その後の刑事処分により不起訴や無罪となった場合には、外部から請求をうけなくても不起訴や無罪であったと報じて逮捕報道はすみやかに削除するというのがフェアな報道であり、逮捕の報道だけをしてあとは知らんぷりというのは表現の自由の保護に値しない報道(表現)ではないでしょうか。

瀬戸法律事務所 


2025年1月1日水曜日

新年のご挨拶



 明けましておめでとうございます。

本年もよろしくお願い申し上げます。

当事務所では、昨年からはすべての年賀状郵送を取りやめております。

年賀状を今年も郵送いただいた皆様には多大な御礼を申し上げます。


令和7年(2025年) 正月 

 瀬戸法律事務所 弁護士 瀬 戸 伸 一