2016年6月24日金曜日

発信者情報開示請求5(発信者情報開示請求訴訟1)

 プロバイダやキャリアに対して,訴訟外での発信者情報開示請求を行っても,ほとんどの場合,開示されることはありません。
 これは,プロバイダ責任制限法が,開示をした場合の免責条項を設けていないためと考えられます。逆に開示をしなかった場合については,悪意や重過失ない限り損害賠償義務を否定しており,開示をしないほうが無難という状況がつくられています。
 このため,裁判上で開示が認められない限り開示をしないという取扱いが定着しており,訴訟を起こすことになります。

 発信者情報開示請求訴訟を起こす場合,プロバイダ責任制限法に特段の定めがないため,裁判は相手プロバイダ,キャリアの本店所在地を管轄する裁判所に提訴することになります。
 ほとんどの場合,東京地裁ということになります。
 関東以外に在住する被害者は,自分で提訴するにしても,弁護士に依頼するにしても,手間と費用がかかることになります。
 相手プロバイダ,キャリアに対する損害賠償請求とあわせて被害者(依頼者)の住所地を管轄する裁判所で提訴することも考えられますが,移送を申し立てられると,現状では,高確率で東京地裁に移送される結果となるようです。