2026年2月4日水曜日

亡くなった人の債務(借金)の調べ方、開示請求方法

 Q 親が亡くなったのですが、親の借金について、どうやったら調べられますでしょうか?


A



1 信用情報登録機関に確認する。

金融機関からの借り入れについては、信用情報登録機関に掲載されますので、信用情報登録機関

(・全国銀行個人信用情報センター(KSC): 銀行、信用金庫、日本学生支援機構(奨学金)などのローン情報。

・CIC(シー・アイ・シー): クレジットカード会社、信販会社、割賦販売情報。

・JICC(日本信用情報機構): 消費者金融、カード会社などの貸金業者情報。)

に開示請求をして、登録情報を取り寄せます。最近はインターネット上で申請ができるようですが、書類の郵送が必要になる場合もあります。


2 預金通帳を確認する。

借り入れをしている多くの場合、毎月など定期に預金口座から振込、引き落としがされていることがあるため、預金口座を確認します。預金口座の通帳がない場合は、銀行に履歴の開示請求をします。


3 不動産の登記情報を見る。

債務があって、定期的に返済をしていない、長期の個人的な債務がある場合、所有している不動産に抵当権等の担保権が設定されている場合があります。所有不動産については、固定資産税の支払通知書があるはずですし、市町村に申請して固定資産税の評価証明(市町村内にある所有不動産の全部)をとることも可能です。


相続放棄については、原則として、相続があったことを知ってから3か月以内となっていますので、早期に調査をして対応する必要があります。

借金がある可能性が高いということであれば、初期から、弁護士に調査を含めて依頼をするということも有効です。


瀬戸法律事務所 弁護士 瀬戸伸一


2026年1月22日木曜日

【判例紹介・解説】「デマだ」と動画で発言した際の賠償請求(高裁 否定)

 東京高裁 令和 7年 8月 4日判決(確定等不明)

【事案】

Xさんがインターネット上の投稿等において、特定の個人を名指しして、同人が出自を偽って我が国の戸籍に不正に登録された旨を指摘したこと等に関して、Yさんがインターネット上で配信した動画の中で、Xさんの上記指摘について「それは客観的にみてちょっとひどいデマじゃないの」、「これは明らかにデマだ」及び「これはちょっとひどいデマだよね」との発言をしたことについて、名誉毀損を理由とする損害賠償請求

【裁判所の判断 骨子】

・(Yさんが行ったY発言は)Xさんがインターネット上の投稿等において摘示した事実が真実ではない旨の事実を摘示するものであって、このような事実の摘示は、Xさんの社会的評価を低下させるものであるとはいえない

・Xさんが「原告摘示事実」(Bさんが〇〇している事実)を摘示する発言(以下「X発言」という。)をしたことを前提として、原告摘示事実が真実ではない旨の事実、すなわち、Bさんが〇〇していない事実を摘示するものであると理解するのが相当である。

 ただし、Y発言は、X発言が「デマ」であるとの表現を用いているところ、このような表現は、本件動画中の前後の内容から切り離して理解する場合には、本件動画の視聴者に対し、Xさんが、原告摘示事実が真実と異なることを知りながら、又は真実であるか否かを顧みることなく、X発言をした旨の印象を与えるものであって、穏当を欠くものであることは否定できない。

 しかしながら、本件動画は、Xさんが原告摘示事実の真実性の根拠として挙げる諸事情を紹介した上で、それらが原告摘示事実の真実性の根拠として不十分である旨を指摘する内容になっているところ、このような本件動画中の前後の内容を踏まえると、Y発言は、Xさんが一定の根拠に基づいて本件発言をしたことを認めながらも、Xさんが原告摘示事実の根拠として挙げる事情が根拠として十分ではないこと、ひいては、原告摘示事実が真実ではないことを強調する趣旨で、「デマ」という表現を用いたと理解するのが相当であって、Xさんが、原告摘示事実が真実と異なることを知りながら、又は真実であるか否かを顧みることなく、X発言をした旨の事実を摘示するものであると理解することは相当でない。

・X発言が摘示した事実(原告摘示事実)が真実ではない旨の事実を摘示するものであって、このような事実の摘示は、原告の社会的評価、すなわち、原告が、品性、徳行、名声、信用等の人格的価値について社会から受ける客観的評価を低下させるものであるとはいえない。

・「デマ」という表現を用いたことによりXさんの社会的評価が低下することがあるとしても、その程度は僅少であるというべきである

【解説】

動画でXさんの発言はデマと言ったことが名誉毀損になるかという話ですが、動画全体では、Xさんの発言について根拠が薄いと言っていることから、一定程度の根拠はあると言っていると受け取られるから、

この場合の「デマ」≠嘘つき(嘘とわかって言っている、調査もせずにいいかかげんに言っている)で、

この場合の「デマ」=真実ではないことを言っている

で、結果として真実ではないことを言っている場合は、社会的評価の低下がないという判断の模様です。嘘つきの場合は、社会的評価の低下があるということですが、一般人がそのように細かく認識を変えてとらえるかと考えると個人的には微妙に感じます。

やはり、結果としてでも、真実ではない発言をしているというように受け取られると社会的評価は低下するのではないでしょうか。

対象の動画は見ていませんが、判決に記載してある事情からすると、XさんとYさんとの間である事実について見解が違うというような内容のようです。ですので、事実摘示があったというよりも、「デマだ」=ある事実についてXさんの反対の結論が正しいという論評や意見の発言と、実質的に捉えて、意見論評で許される範囲を逸脱していないとして、賠償を認めないという結論に沿って、構成したのではないかと思ったりもします。

「デマだ」という発言が不穏当という判決の記載にもあるとおり、あまり多用されるべき言葉ではないというのはそのとおりで、これが意見論評の言葉と広く認知されることは避けたい、名誉毀損になる場合もまあまああるよという注意喚起とか波及効果も考えて判決をしたのだと深読みすると、事実摘示と捉えて判決した本件の方法のほうが妥当であったと個人的に思ったりもします。

人の発言を批評する際には、「デマだ」というような言葉は控えて、「真実ではないと自分は考えている」など穏当な発言にしたほうがよさそうです。

瀬戸法律事務所 弁護士 瀬戸伸一


2026年1月21日水曜日

アダルト作品をファイル共有ソフトで無料でダウンロードしたら賠償請求されたというニュースについて

 「無料でアダルト作品をダウンロード」すると自動で違法動画を投稿…匿名投稿者の情報開示請求が急増、年47万件超 朝日新聞

P2P型ファイル共有ソフト(BitTorrent等)を利用して、アダルト作品をダウンロードしたら、知らぬ間に、アップロードしていることになっており、アダルト作品の制作会社から賠償請求を受けるというような事例が近時多数あるとのことです。

ニュースにもありますとおり、アダルト作品の無断共有により、制作会社も被害を受けており、近時は積極的に開示請求によって加害者を特定して賠償請求するようです。

そして、P2P型ファイル共有ソフトは、ダウンロードしたファイルやその一部をキャッシュとしてPC内に保持しており、ほかの利用者がそのキャッシュを利用してダウンロードする仕組みになっていますので、利用するだけでアップロードする立場にもなります。

ニュースでは数万~数十万円くらいの賠償請求を受けたということになっておりますが、開示請求をして加害者を特定してから請求をすると費用もかかりますので、請求額が増加するのもやむを得ない部分もあります。

請求されてから後悔をしないように、P2P型ファイル共有ソフトによる違法利用はしないようにしましょう。

瀬戸法律事務所 弁護士 瀬戸伸一


2026年1月15日木曜日

消滅時効にかかった貸金債権の請求(日本保証など)

  


 ずっと前に消費者金融会社からお金を借りていたけど、10年以上返済もしていなくて、最近になって、請求がきたというようなことがありませんでしょうか?

 このような貸金債権については、消滅時効が完成している可能性が高いですが、消滅時効というのは、債務者が「援用」をするまでは効果がない(債権としては残っている)ことになっていますので、消費者金融会社としては、援用があるまでは、債権があるものとして請求をすること自体は可能です。

 旧武富士は、倒産をしましたが、ロプロに事業承継され、その後ロプロが「日本保証」に商号変更しました。現在、昔の武富士が貸し付けていた古い貸金債権について、日本保証から請求を受けて困っているというような例があります。

 このような場合には、まず、弁護士に相談をしましょう。事情を聴いて、消滅時効が完成しているか否かを概ね判断できますし、消滅時効が完成していると仮定して、まずは、弁護士から債権者に消滅時効の援用の文書を送ってもらうというのが有効です。

 請求がきて、とりあえず相手に連絡をとって、支払いの約束をするとか、わずかな金額でも支払ってしまうと、原則として「債務の承認」となって、「消滅時効の更新」(旧規定では時効の中断)に該当して、消滅時効が援用できなくなります。例外的に消滅時効援用できるという場合も下級審判例で認められたものもありますが、消滅時効の更新を争う裁判が必要になると思われますので、連絡がきたら、まず、債権者に対して何もせずにすぐに弁護士に相談をしたほうがよいです。


瀬戸法律事務所 弁護士 瀬戸伸一

2026年1月5日月曜日

新年のご挨拶

 

明けましておめでとうございます。

本年もよろしくお願いいたします。

瀬戸法律事務所 弁護士 瀬戸伸一