2018年10月15日月曜日

インターネット被害(名誉棄損その他)の損害賠償額(和解の場合)

 インターネット被害(名誉棄損,プライバシー権侵害,その他)があり,訴訟をせずに和解合意した場合の損害賠償金(和解金)事例

 インターネット被害があった場合の損害賠償金の金額は,発信者特定のために必要であった費用(弁護士費用,実費)のほか,そのほとんどが慰謝料である場合が多く,慰謝料については明確な基準がなく,算定が難しいところです。
 当事者間で,合意ができた金額が,その当事者間でその事例において,相当な金額といえると思いますが,当事者の資力や感情面が大きく反映される点で,一般化はしにくいと思います。
 しかしながら,一例として参考にはなりますので,私が知る事例(私が依頼を受けたものとは限らない)を紹介したいと思います。
 また,発信者特定のために,仮処分や訴訟をしている場合,発信者特定のために必要であった費用だけでも数十万円かかる場合もあり,和解金額=慰謝料額ではありません。

和解金200万円~300万円の事例 
名誉棄損事例(虚偽の不倫事実や個人情報)
名誉棄損事例(虚偽の性風俗店勤務事実や個人情報)
わいせつ画像・動画の投稿事例

和解金100万円~200万円
プライバシー権侵害事例(性風俗店勤務事例)

和解金50万円~100万円
名誉棄損事例(虚偽の不倫事実)

相手に資力がなく,訴訟をしても回収可能性がないため,まったく賠償を受けられない場合もあります。

 また,訴訟による場合よりも,訴訟前の和解のほうが,名誉棄損等刑事処罰がありうる場合に告訴・被害届の取り下げ(提出しない)等を条件に含むなど相手に有利になる点もあるため,訴訟で認められる金額よりも多額な和解金が得られかつ早期に解決するという利点もあります。

記事の削除とgoogle検索結果

 インターネット上の記事(書き込み)を削除したいとの依頼を受けますが,インターネット上の記事の削除=googleの検索結果に出てこなくなるという誤解をされている方が少なくないです。
 googleの検索の仕組みは,以下の通りです。

Google 検索の仕組み

https://support.google.com/webmasters/answer/70897?hl=ja

 単純にいうと,googleは,ある人が検索の単語を入れて検索をするたびに,インターネット上を全部検索しているのではなく,googleに事前に登録された情報をもとに検索結果を表示しているというものです。
 ですから,インターネット上の記事(書き込み)を削除しても,すぐには,googleの検索結果に反映されず,検索結果としては削除前の情報が表れるということが起きます。
 いずれは,削除後の情報が反映されると思いますが,何もしない場合,それが1日先か1年先かもっとかかるのかはわかりません。
 
 しかし,googleに削除後の情報を反映させてほしいという要請をすると,比較的早く情報が反映され,googleの検索結果に出てこなくなります。
 この要請の方法は,いくつかありますが,いろいろな方法を使うと,私が実行した場合,だいたい2週間以内には反映され(1日で消えるものもあります),1か月以内に反映されなかったものは今のところありませんでした。
 すべてが確実に反映されるとはいえませんが,今のところ,ご依頼いただいた分は全部,情報が反映され,googleの検索結果から削除されているようです。

 また,削除対象記事が電子掲示板やブログの場合,1つのレス・記事でも,複数のURLで表示されるため(記事単体表示・複数の記事をまとめて表示等),1つのgoogle検索結果を削除しても,別のgoogle検索結果が検索の上位にあがってくることがあります。これらを1つ1つ全部,情報の反映要請をしていって初めてgoogleの検索結果から削除記事の情報がなくなるのです。
 
 googleの検索結果から削除記事の情報の反映(検索結果の削除)も,記事の削除とは別途にご依頼を受け付けております。

爆サイの発信者特定の際の注意点

 爆サイ(バクサイ)の発信者(投稿者)を特定したい場合の注意点

・発信者特定情報開示前に書き込み(レス)の削除をしない
 爆サイの書き込み(レス)の投稿者情報(IPアドレス等)は,書き込みと一緒に管理されていますので,書き込みの削除がなされると,もう,その書き込みの投稿者を特定することはできません。
 弁護士に依頼前に,自分で爆サイに削除要請をし,発信者の特定もしたいと依頼相談に来られる方もいらっしゃいますが,書き込みの削除が実行されて,特定できなかったという場合もあります。
 また,発信者情報開示の請求と書き込み削除の請求を同時に行った場合,書き込み削除の実行が先になされる場合もありますので,発信者情報開示の請求を行い,十分な情報の開示があってから,削除をした方がよいでしょう。

・書き込みがあってから概ね2か月以内に弁護士に相談する。
 書き込みが携帯電話(ドコモ,AU,ソフトバンク)のモバイル通信を利用してなされている場合,これらの会社は,通信記録を3か月(90日)しか保持していません。
 このため,爆サイから発信者特定のための情報の開示をしてもらって,これらの会社に発信者情報の保存を依頼するまで1か月程度とみると,書き込みがなされてから2か月以内に,爆サイに開示請求を始めないと時間切れとなってしまう可能性があります。
 PCの通信プロバイダでは,もっと長く保存をしているところもありますが,携帯電話が使われていることも多く,この3か月の期間制限を超えると特定できなくなる可能性が高くなります。