2024年11月11日月曜日

【対応事例】大島てるに対する事故物件情報の削除請求

 【事案】

事故物件情報サイト「大島てる」に、虚偽、嘘の情報が記載されており、自分の不動産の価値が下がっている、削除したい。

また、真実の情報が掲載されている場合は、どうか。

【対応】

 大島てるは、不動産における、死亡事故、自殺、殺人等の情報を掲載するサイトです。以前は、削除要請の方法自体がわかりにくく削除要請が難しかったのですが、現在は、コメントに記載する方法で要請可能です。

 大島てるは、虚偽情報であれば(真実と確認できなければ)削除する、真実なら削除しないという対応方針で、虚偽であることが明らかであれば、削除は難しくありません。

 しかしながら、真実か虚偽が微妙という事案もあり、その場合に簡単な削除要請で削除されない場合は、詳細な説明と資料を付加した削除要請文書を送付して削除要請する必要もあり、その場合は、弁護士に任せたほうがよいと思われます。

 記載されている内容が真実であれば、原則として、賃借を検討する者らの心理的瑕疵に関する情報を知る権利に資するものとして、不動産の価値の減少があったとしても情報の削除が認められないと判断され、同趣旨の裁判例もあります。

 一方で、上記の知る権利に資する価値を考慮しても、不動産所有者の権利の侵害の程度が大きすぎるという場合も、きわめて例外的にあるとも思われます。そのような場合は、裁判による削除請求をするほかありませんが、どうしても情報の削除を試みたいという方は、ご相談ください。

 瀬戸法律事務所


2024年11月6日水曜日

【対応事例】「権利が侵害されたことが明らか」でない場合における発信者(投稿者)への警告方法

 【事案】

 インターネット上に自分の悪口が書かれているが、

・第三者からみて自分のことであるといえるか微妙

・書いてある内容が自分から見ると悪質であるが、弁護士等に相談すると、権利侵害の程度が高くないので開示請求できるか微妙

など、発信者情報開示の要件である「同定可能性」や「権利が侵害されたことが明らか」といえるか微妙で、開示請求ができない場合でも、発信者(投稿者)に今後の投稿をやめさせたいときに何ができるか。

【対応】

 SNS等発信者(投稿者)のアカウントが明らかで、そのアカウントに対してDM(ダイレクトメッセージ)を送付することができる場合は、直接、そのアカウントに対して警告文を送付します。

 弁護士等の専門家第三者から警告をうけた場合、正常な判断をする人であれば、通常は、自己の行為を反省して、自分にも不利益が返ってくるような行為は避けようとして投稿をやめることが多いです。

 相手方アカウントが明らかで、DMが送付できない場合は、公開投稿で連絡をしたい旨を伝えて、DMの許可を受け、または別方法でDMをして、警告を送ります。

 SNSではなく電子掲示板等相手方アカウントが不明な場合は、発信者情報開示手続をとって相手方を特定するのが正攻法ですが、今回の事案のように、発信者情報開示が認められる要件を満たしていない場合も、アクセスプロバイダ宛に発信者情報開示請求をすることにより、実質的に、警告を与えることができる場合があります。

 発信者情報開示請求をアクセスプロバイダ(発信者が契約をしている携帯電話会社やPCの通信のプロバイダ)にすると、アクセスプロバイダは、開示請求について、発信者(契約者)に意見照会をすることになっており、これにより、発信者は、被害者が開示請求を始めたことを知り、投稿内容について許せないため反撃のために開示請求をしたと感じるのです。

 この段階で、発信者が自己のやった行為について反省して今後の投稿をやめるということも多いですし、反省したために、直接、被害者の代理人に連絡をとってきたり、開示請求について同意をしたりすることもあります。

 発信者情報開示の要件である「同定可能性」や「権利が侵害されたことが明らか」を満たさない場合でも、開示について発信者の同意があれば、情報はほとんど開示されます。

 このようにして、今後の投稿被害を避けることができる場合もありますので、なんとかしたい場合はリスクを考慮しつつやってみるのも方法の1つです。

瀬戸法律事務所

2024年11月5日火曜日

【相談事例】個人の情報がネット上に書かれているので削除してほしい。


 【事案・相談内容】

 インターネット上で(ツイッター、X)、自分の個人の情報が書かれているので、削除をしてほしい。

 また、今後、このようなことが起こらないように相手に何かをしたい。

【回答】

1 削除方法

 削除の方法としては、①投稿した者に削除を求める(交渉)、②サイト管理者(ツイッター、XであればX社)に対して、削除を求める(交渉)、③サイト管理者を相手にして削除の裁判をする。

 の3方法になります。

2 削除されるか

 削除されるか否か、①の投稿者に求める方法であれば投稿者が了承すれば削除sされます。②のサイト管理者に削除を求める交渉であれば、サイト管理者が定める規約や削除条件に合致していれば削除されます。個人名(フルネーム)、住所、電話番号が記載されていれば削除するとしているところが多いと思います。

③裁判での削除基準は、複雑です。個人を示して嘘の事実がかいてあれば名誉毀損としての基準により削除を判断しますし、個人を示して本当のことが書いてあってもそのことが他人にみだりに知られたくないプライバシーに属する事実であれば、プライバシー権侵害の基準により判断されます。

 また、削除されるためには、書いている内容があなたを示すものであると第三者が判断するようなものでないといけません。

3 書いている内容があなたを示すか(同定可能性)

 「この投稿は自分のことを示すものだ」と感じていらっしゃるのに、書かれている内容をみると、第三者からはそうはみえないということが少なくないです。

 この第三者というのは、あなたのことの情報のいくつかをしる第三者を想定するもので、ざっくりいえば、仕事の取引先の人や、たまにあう友人くらいを想定するとよいかと思います。あなたは、あなたに関するすべての情報をもっており、あなたが経験したすべての記憶があるので、ある投稿をみて、「自分のことだ」と感じるかもしれませんが、あなた以外のほとんど多くの人があなたのことであると分かるような内容でないと、「この投稿があなたのことを示している」とは裁判所は判断しません。

 この裁判所(法律)の判断の枠組みと本人の感覚の差から困る方もいらっしゃいます。

 また、例外的に、誹謗中傷の程度がひどく人格否定までつながる場合は、名誉感情侵害として、第三者からはあなたと特定できなくても、削除できる場合もあります。これもケースバイケースといえるでしょう。

4 今後、投稿されないようにどう対応するか

 これは、投稿した相手に二度としないように意識させるほかないです。

 そのためには、

1⃣相手方に警告をする。(直接連絡先が分かる場合)

2⃣発信者情報開示をして相手を特定して相手に警告をする(連絡先が分からない場合)

ことになります。今までやった賠償請求と合わせて交渉し、和解をする際に、今後投稿しないという約束や違反の場合の違約金まで定めておくと有効かと思います。

 ただし、ここまで全部するためには、時間も手間も費用もかかりますので、それらも考慮して検討してください。


瀬戸法律事務所