2025年6月16日月曜日

ネット投稿の加害者になり開示請求の照会を受けた場合の対応

  


当事務所では件数は多くありませんが、インターネット上の投稿をしたことにより加害者であるとして、被害者が開示請求手続きをとった場合の意見照会の対応もしています。

 被害者がインターネット上のコンテンツプロバイダ(掲示板、SNSサービス提供者)や通信会社に開示請求をすると、当該会社が投稿者の契約情報(氏名、住所その他)を知っている場合は、その投稿者について、開示請求があったことと開示請求についての意見照会をすることになっています。

 このときに、開示に同意をすると回答すると、これらの会社は開示に同意があったとしてすぐに開示をすることが多いです。被害者と加害者である程度やりとりがあって開示手続に時間をかけないほうが開示費用の関係でよい場合はこの対応をとることもあります。

 しかし、一般的には、開示をしてほしくないと考えるのが通常でしょう。コンテンツプロバイダや通信会社は、開示には消極的ですが、裁判手続となり裁判所から開示を命じられた場合は開示をします。一方、コンテンツプロバイダや通信会社は、被害者からの開示の申立について反論する資料等をもっていないのが通常です。このため、照会があった場合の意見書において、開示をするべきでないという事情を記載し、できれば証拠資料もつけて提出したほうが開示を阻止できる可能性が高くなります。

 この開示をするべきでないという意見においては、開示の要件である権利侵害の明白性がないという争い方がメインになりますが、その内容については法律的要素が大きいので弁護士に依頼をして意見書の作成をしたほうがよいでしょう。

 また、発信者情報開示が裁判手続になっている場合は、その手続に、利害関係人として参加したり、記録を謄写したりすることもできます。その際、通常は、裁判手続きにおいては、氏名や住所を被害者にも明らかにしなければなりませんが、近時の法改正により、「住所、氏名等の秘匿制度の創設」がなされましたので、住所・氏名を被害者に秘匿した状態で裁判手続に関与することも可能になっています。

 開示請求手続きの意見照会がきてお困りの方は、瀬戸法律事務所までご相談ください。

 瀬戸法律事務所 弁護士 瀬戸伸一

2025年6月10日火曜日

X(旧Twitter)の開示対応が遅すぎる、裁判所の執行も怠慢

1  X(旧Twitter)の開示対応が遅すぎる、裁判所の執行も怠慢というお話です。


2 X(旧Twitter)が発信者情報開示命令が出ても開示しない、1ヶ月経過して確定しても開示しない、

 間接強制の強制執行を裁判所に申し立てても、裁判所がこちらが問い合わせをするまで何も対応しない、裁判所の指示どおりに書面等は送付しているのに、1ヶ月以上も放置、どうなっている?とこちらが問い合わせをするとやっと、「今週催告書送った」とかいう。絶対連絡いれるまで何もしてなかったやろう、そば屋の出前か!!という感じであきれる。

 裁判所もほっといたら開示されて取下げになるだろうという考えなのだろうか、ほっといて開示されないから強制執行してるのだとなぜわからない。

 まあ、開示しないX(旧Twitter)が悪いのだけど、裁判所がすみやかに対応していれば、X(旧Twitter)の態度もかわってくるだろうと思うし、裁判所も軽めの幇助犯。

 他の弁護士も X(旧Twitter)は対応遅すぎると言っているし、執行まで必ず必要として今後は受任をしないといけないだろうと思われます。

瀬戸法律事務所 弁護士 瀬戸伸一

2025年6月3日火曜日

キャッシングの消滅時効、貸金業者の提訴、公示送達

  先日、裁判所に久しぶりに行きました。WEB期日が一般化して裁判所庁舎に行く機会が減りました。

 裁判所の端に、公示送達の公示のための掲示板があり、昔はA4の紙で表示してたのに、今はA5の紙に2枚表示(大きさ4分の1)で表示している。誰も見てないだろうというためか、掲示場所が足りないためか。

 それで、前からある福岡の貸金業者しんわが公示送達で提訴してたのを見て、むかし、消滅時効にかかった貸金債権で提訴してたな、またやっているのかと思ったけど、今、普通に貸金業務再開しているみたいです。

 まあ、貸した金を返さないほうが悪いんやけど、貸金が仕事で、適正な貸付が義務付けられている貸金業者で、消滅時効にかかるまで法的回収をしなくて、消滅時効完成した後に多大な利息・遅延損害金を付加して請求する(回収の見込みがあると何らかの情報をもって行う)のは、やっぱ相当じゃないでしょう。

 けど、時効援用があるまで債権自体は存在するというのが法律ですから、消滅時効完成した貸金債権でも、提訴されてそのまま争わないと支払えという判決が出て、確定すると、もう消滅時効であるとはいえなくなります。

 このため、提訴された段階で消滅時効を援用しないといけません。

 また、住民票を引っ越しの際にきちんと動かしていないと所在地不明ということで公示送達を受け、提訴されたことをしらないまま判決がなされることもあります。

 キャッシングで最終取引から5年経過していたら消滅時効が完成している可能性がありますので、弁護士に相談をして確認し、消滅時効完成していれば援用手続きをしましょう。これで晴れて債務なしになります。


 瀬戸法律事務所 弁護士 瀬戸伸一