2024年11月6日水曜日

【対応事例】「権利が侵害されたことが明らか」でない場合における発信者(投稿者)への警告方法

 【事案】

 インターネット上に自分の悪口が書かれているが、

・第三者からみて自分のことであるといえるか微妙

・書いてある内容が自分から見ると悪質であるが、弁護士等に相談すると、権利侵害の程度が高くないので開示請求できるか微妙

など、発信者情報開示の要件である「同定可能性」や「権利が侵害されたことが明らか」といえるか微妙で、開示請求ができない場合でも、発信者(投稿者)に今後の投稿をやめさせたいときに何ができるか。

【対応】

 SNS等発信者(投稿者)のアカウントが明らかで、そのアカウントに対してDM(ダイレクトメッセージ)を送付することができる場合は、直接、そのアカウントに対して警告文を送付します。

 弁護士等の専門家第三者から警告をうけた場合、正常な判断をする人であれば、通常は、自己の行為を反省して、自分にも不利益が返ってくるような行為は避けようとして投稿をやめることが多いです。

 相手方アカウントが明らかで、DMが送付できない場合は、公開投稿で連絡をしたい旨を伝えて、DMの許可を受け、または別方法でDMをして、警告を送ります。

 SNSではなく電子掲示板等相手方アカウントが不明な場合は、発信者情報開示手続をとって相手方を特定するのが正攻法ですが、今回の事案のように、発信者情報開示が認められる要件を満たしていない場合も、アクセスプロバイダ宛に発信者情報開示請求をすることにより、実質的に、警告を与えることができる場合があります。

 発信者情報開示請求をアクセスプロバイダ(発信者が契約をしている携帯電話会社やPCの通信のプロバイダ)にすると、アクセスプロバイダは、開示請求について、発信者(契約者)に意見照会をすることになっており、これにより、発信者は、被害者が開示請求を始めたことを知り、投稿内容について許せないため反撃のために開示請求をしたと感じるのです。

 この段階で、発信者が自己のやった行為について反省して今後の投稿をやめるということも多いですし、反省したために、直接、被害者の代理人に連絡をとってきたり、開示請求について同意をしたりすることもあります。

 発信者情報開示の要件である「同定可能性」や「権利が侵害されたことが明らか」を満たさない場合でも、開示について発信者の同意があれば、情報はほとんど開示されます。

 このようにして、今後の投稿被害を避けることができる場合もありますので、なんとかしたい場合はリスクを考慮しつつやってみるのも方法の1つです。

瀬戸法律事務所

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