2014年7月18日金曜日

DNA鑑定結果による親子関係不存在確認請求事件最高裁判決

DNA型鑑定で血縁関係がないことが明らかになった場合に法律上の父子関係を取り消せるかが争われた3訴訟の上告審判決で、最高裁第1小法廷(白木勇裁判長)は17日、父子関係の取り消しを認めない判断を示した。
http://www.iza.ne.jp/kiji/events/news/140717/evt14071715540030-n1.html

 父子関係の安定のために,推定される嫡出子については,DNA型鑑定で血縁関係がないことが明らかになった場合でも法律上の父子関係を取り消せないと最高裁は判断しました。

 また,親子関係がどうであるべきかは,国の基本的な枠組みに関する問題であり,裁判所で具体的事案の解決をはかる(その際には現行法で解釈できる範囲から大きくはずれてしまう結果となりうる)というのではなく,立法で解決すべきであるとしました。
 反対意見の裁判官は,事案の解決の具体的妥当性は裁判の生命であって,本件のケースでは,抽象的な法的安定性の維持よりも優先するものがあるので,親子関係の不存在を認めるべきであるとしました。

 現在の民法の家族法が制定されたのは第2次世界大戦後直後くらいの昭和22年であり,当時と現在とでは,家族観や人の生活も異なり,生物学上の親子関係についてもDNA鑑定というほぼ絶対といってよい調査方法もできるなど大きな変化がありました。


 法律上の父親(A),生物学上の父親(B),母親(C),子供(BとCの子=D),他の子供(Aの他の子供やBの他の子供,E)について,それぞれ保護されるべき利益はあるとおもわれ,どのような場合に,何ができるようにするかの調整は,まさに,立法で解決すべき問題だと思います。

 

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