2014年8月11日月曜日

男性引きずり殺害事件の刑事罰について

男性引きずり殺害 運転の19歳少女「飲酒ばれる」 宇都宮、容疑で逮捕


調べによると、直前に現場近くのコンビニエンスストア駐車場で、軽乗用車が為末さんの乗用車に衝突。走り去ろうとしたため、為末さんは止めようと運転席窓付近にしがみつき、約200メートル引きずられた。

 同署によると、少女は「飲酒が発覚すると思い、怖くなって逃げた」。村上容疑者は「間違いありません」と容疑を認めている。


コンビニの駐車場で誤って無人の車にぶつける→刑事罰なし
飲酒運転(酒気帯び)→刑事罰 3年以下の懲役又は50万円以下の罰金
飲酒運転(酒酔い)→刑事罰 5年以下の懲役又は100万円以下の罰金

運転席窓付近にしがみつく人を約200メートル引きずる→殺人→死刑又は無期若しくは5年以上の懲役

ぶつけた時点で,止まって謝罪して賠償の約束をしていれば,警察沙汰にならなかったかもしれないし,警察が来ても,未成年であるし,アルコール量によっては,罰金程度で済んでいたかもしれないのに,逃げたために被害者がとめようと車につかまり,なお,走行を続けたために被害者が死亡してしまった。

正常な判断をしていないのだろうけど,本当にすべきでないことをして,被害者にも加害者自身にも最悪の結果をおこしてしまった事件で,痛ましい。

2014年8月4日月曜日

2ちゃんねる(2ch)等のインターネット上の掲示板への書き込み被害について

当事務所HPに記載しているためでもありますが,
2ちゃんねる(2ch)等のインターネット上の掲示板に名誉棄損的,プライバシー侵害的な書き込みがされたので,インターネット上から,全部削除したいというご相談を受け付けることが多いです。

しかし,インターネット上にその書き込みがどれだけあるか,認識されていない方が多いです。

たとえば,2ちゃんねる(2ch.net)に書き込まれた内容は,新しい2ちゃんねる(2ch.sc 運営が別)にも転載されますし,その他,2ちゃんねるのスレッドを保存して転載するサイト(ミラーサイト)やスレッドの内容をまとめたサイトに転載されます。
このようなサイトは板にもよりますが,10個以上ある場合もあります。

さらに,この記事がブログの形式で転載されると,この転載されたブログの内容を自動的に引用して(設定された単語を含むブログ記事を自動的に検索する設定になっている模様)転載するという機能をもったブログが多数あり,一気に数百箇所に転載されるという場合もあります。

これを全部削除(要請)することは,かなりの重労働であり,削除依頼をうける場合でも,相当の費用をお願いすることになります。

また,元のサイトが削除されていれば,googleやyahooのキャッシュの削除(要請)ができます。これを行っていくと,そのうち,検索結果からも消えてきます。
さらに,まだやったことはありませんが,予測変換(サジェスト機能)についても,googleの日本法人であれば,削除要請に応じてもらえるみたいです。

インターネット上の書き込みの削除を考えるときは,まず,インターネット上にどれくらい記事があるかをよく確認してから検討したほうがよいでしょう。



過払金訴訟 遅延損害金 期限の利益喪失について 最高裁判決2 コメント

平成26年7月24日と29日に,過払金訴訟 遅延損害金 期限の利益喪失について
いわゆるボトルキープ論といわれる主張についての最高裁判決がでました。


24日の判決も29日の判決も

「元利均等分割返済方式によって返済する旨の約定で金銭消費貸借契約が締結された場合において,借主から約定分割返済額を超過する額の支払がされたときには,当該超過額を将来発生する債務に充当する旨の当事者間の合意があるなど特段の事
情のない限り,当該超過額は,その支払時点での残債務に充当され,将来発生する債務に充当されることはないと解するのが相当である。」
としました。

ボトルキープ論とは,何かというと,

貸主側が約定の支払時期に弁済がなく遅延損害金が発生する
と主張したことに対して,

約定の利率を前提にすると支払がないことは確かだが,
利息制限法の適用を前提とすると,毎回,しはらわなければならない金額よりも多くの金額を弁済しており,その額を累計すると,遅延したとされる日において,先行して弁済を行ったことと同じであるから,遅延損害金が発生しない
という主張のことである。

この主張について,最高裁は,利息制限法の制限利息を超える弁済は,元利均等分割返済方式においては,弁済時に,元本へ充当され,その時点で借主は利益を得ているのであるから,その後に発生する利息についても弁済済みと評価するのは二重に弁済と評価するものであってそのように解釈できず,約定弁済日に,利息制限法の制限利息を前提として計算した元本から算出される利息金を支払っていない以上,約定の弁済がなかったとして遅延損害金が発生するとしました。

一方,利息制限法の制限利息を超える弁済を将来の貸付利息に充当する旨の合意がある場合は,将来の利息に充当する結果(この場合,元金には充当されないため,発生利息は多くなる),遅延損害金が発生しないとしました。

基本的に,利息制限法の制限利息を超える弁済を将来の貸付利息に充当する旨の合意というものは想定しにくく,最高裁の補足意見が指摘するように,その合意は,借主にとって有利とも言い難いため,今後は,ボトルキープ論は使えないと思ったほうがいいのではないかと考えています。

ボトルキープ論がなくても,期限の利益の再度付与や信義則の適用で遅延損害金の問題は対応できると思いますし,逆に,その主張ができない場面では,遅延損害金が発生することを前提に考えなければならないかと思われます。