数年前に比べると,過払金請求の裁判の依頼は激減しました。
過払金に関する最高裁判例も多くでており,実質的な争点となるものは,もう,遅延損害金の発生の有無のみであるともいわれています。
借主が期限の利益を喪失すると,遅延損害金が発生するのですが,借主が期限の利益を喪失したか否かについて,(1)期限の利益の再度付与(2)信義則(3)いわゆるボトルキープ論の3つの反論が主に考えられます。
(1)期限の利益の再度付与については,平成21年4月14日最高裁判決,(2)信義則については,2つの最高裁平成21年9月11日判決があります。
これらの判決では,延滞後に作成された書面(利用明細書等)が重要とおもわれます。
すなわち,利用明細書で,支払分のうち元金分を除く分を遅延損害金として受領する記載をしていれば,貸主は遅延損害金として扱っており,期限の利益の再度付与もしておらず,信義則上も期限の利益の主張をしてよいという方向に流れやすくなります。
一方,利用明細書で,支払分のうち元金分を除く分を利息として受領する記載をしていれば,貸主は遅延損害金は発生していないものとして扱っており,期限の利益の再度付与をしていたり,期限の利益の喪失を主張することも信義則上許されないものとされたりという方向に行くようです。
これらと別に,(3)いわゆるボトルキープ論があります。
ボトルキープ論とは,利息制限法の制限利息以上の弁済を行った場合に,飲み屋のキープボトルのように,ストックが出来て,このストックを使い切らないと,新しいボトル代金が発生しないように,期限の利益の喪失にもならないという考え方です。
このボトルキープ論については,平成26年7月24日と29日に最高裁判決が出るようです。
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