2016年1月6日水曜日

過払金返還請求訴訟3-1(基本契約(契約の一体性))

 過払金の計算(算定)をするにあたって,一連で計算をするか,個別に計算をするのかという争点で,契約の一体性が問題となってくる。
 取引が同一期間に併存しない場合(取引中断型)を想定すると,
まず,①契約の個数(形式的個数)が問題にされる。
契約の個数は,原則として,基本契約の個数で判断され,前の基本契約と同一というような内容がない限りは,基本契約書が2通作成されていれば,契約の個数は2個とされる。
 この時点で,基本契約が1個であれば,原則として,取引中断期間があろうと,一連計算すべき(最高裁のいう過払金充当合意が継続している)ということになろう。
 「原則として」というのは,
・取引中断期間が5年超
・元の基本契約の継続(有効)期間が5年間
・取引再開時に新たな基本契約書の締結なし
という事案で,裁判所(下級審)は,一連の取引としない(分断)という判断がなされたことがあり,基本契約が1個(契約書が1枚しかない)としても例外がありうるためである。
 まあこの事案では,従前の基本契約はすでに終了しており,取引再開時に,新たな契約が成立した(契約書は作成されていなかった)という認定も可能なため,しかたないところであろうか。
 下級審判例をみると,基本契約1つで,取引中断期間3年程度でも一連計算の結論をとったものもあるため,私見では,基本契約の契約有効期間(年数)と取引中断期間の比較が,裁判所の一連計算の適否の判断要素となっているのではないかともおもわれる。
 

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