2025年2月26日水曜日

仮差押を受けた後でも消滅時効主張できます【事例】

 1 事案

 10年以上前に、物品を分割ローンで購入したが支払えなくなった。その後、ローン会社から請求を受けていたが請求もこなくなったのでそのままにしていた。裁判等は受けていない。最近になって、このローン会社から債権の譲渡を受けたという会社が私の親(すでに死亡)名義の不動産に相続登記をし、私の不動産持ち分に仮差押をした。

 ずっと昔の話であり、遅延損害金の額も大きいので時効で支払わないということはできないだろうか。

2 対応

 最近は民法改正があり消滅時効の期間の変更もありましたが、改正前民法においても、10年間経過していれば時効中断がない限り消滅時効が完成しています。

 消滅時効の完成後に、債権者が仮差押をしても(消滅時効の援用をするまでは債権としては残っているので仮差押自体はできます)、その後に消滅時効の援用をすれば、債権が消滅しますので、仮差押も消すことができます。

 しかしながら、このような債権者は、仮差押をした後に、いくらかでも支払ってほしいと言って、1万程度の少額(全体額で数十万円など)な請求をして弁済を受けます。一旦支払ってしまうと、権利の承認(民法152条1項。債務の承認)となってしまい、消滅時効の援用ができなくなります。

 旧法下では、サラ金会社等が、消滅時効にかかった債権について、脅して支払いをさせたり、1000円程度の極めて少額な支払いをさせたという事案で、債務の承認にあたらないという判断がされた事案もありますが、基本的には、弁済(支払)をすると、消滅時効の援用ができない、争いが生じることになりますので、支払はせずに、弁護士に相談をするのがよいです。


瀬戸法律事務所 弁護士 瀬戸伸一

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