1 質問
債権回収をしたいのですが弁護士に依頼をするメリットはありますか、デメリットはありますか?
2 回答
弁護士に債権回収を依頼するメリットは、以下の通りです。
① 仮差押などの裁判所を使った保全手続ができる、訴訟・強制執行などの法的手続きがとれる
時間をかけて交渉して回収をするか、保全手続きをとるか、裁判により回収を行うべきかについては、相手の資力や事案の内容等によって、大きく異なってきます。
保全手続である仮差押の決定がでたらすぐに支払ってきたという場合も多くあり、話し合いで解決できない場合、これらの法的手続きを行うことが重要です。
また競合する債権者がいる場合は、他者に先駆けて回収行為を行うことが重要です。
② 相手へのインパクト
当事者からの請求では全く支払わなかった相手でも、弁護士から督促を受けるとすぐに支払ってくるということは、少なからずあります。
これは、弁護士に依頼をするということは、その分だけ請求者側も本気である、費用をけているので支払いをしない場合は裁判や保全手続きをうけてしまい、最終的には支払わないといけなくなる等を考えて支払うのではないかと思われます。
そのため、弁護士名で内容証明郵便による請求文書を送るということがまず最初に行う回収行為でしょう。
弁護士による請求があったということでプレッシャーを感じて支払いがなされるという効果はそれなりに期待できます。
また、支払いをしないということについて、支払義務があることは認めるが、請求者に対して不満があるという場合もそれなりにあります。
このような場合に、相手方の不満を十分に聞いてそれを請求者本人に伝えると約束しただけで支払いをしてもらえることもありますし、不満内容の解消が請求者側にとっても将来的に都合がいい場合はそれを迅速に改善して支払ってもらうよう和解をするなど、専門家である弁護士が間に入ったためにスムーズに解決するというケースもあります。
③ 回収の時間・労力・手間を減らせる
売掛金等の債権回収業務は、通常業務とは別の業務であり、本来の業務に充てる時間を債権回収に割かれてしまうと、企業としての生産性・効率の悪化につながります。
また、債権回収に不慣れな者の場合、何を行っていいかもわからず、何を行うべきかを調べるために、多くの時間や労力を費やすことにもなりかねません。
会社組織の場合、担当者が、回収できないのは自分のせいではないか、自分の評価に影響するのではないか、相手方と支払いの話をするのが気が重いなど考え、精神的な負担を負うことも考えられます。
弁護士への依頼によって、これらの負担を大幅に軽減することができます。弁護士に依頼をして回収できなければ、だれも回収できなかったとあきらめもつきます。
一方、弁護士に依頼をするデメリットもあります。
弁護士依頼した場合のデメリットとしては、弁護士費用の負担、相手との関係悪化があります。
1 弁護士費用
弁護士費用については、依頼スタート時に着手金と実費が必要になり、最終的に回収ができなかった場合でも、これらの費用は依頼者負担になりますため、回収できなかった場合は、弁護士に依頼をせずに回収をあきらめた場合より、実質回収額はマイナスになります。
これは裁判で勝訴したものの、強制執行で回収できなかった(相手に財産がなかった)場合も同様です。
成功報酬は、回収額に応じて定まることが多く、回収額が多ければ弁護士費用を上回る結果になりますが、回収額が少なければ、実質回収額がマイナスになることもあります。
回収の見込みの見極めが大切になります。そのためには、できるだけ正確、詳細な情報が必要になります(相手方の営業内容、資産等の情報、請求する債権について相手方の反論等があるか等)。
2 相手方との関係の悪化
特に継続的な取引をしている間柄の場合、弁護士が表に出て請求行為を行うと、相手との関係が悪化する場合があります。
一方、事案によっては、弁護士による請求を行っても関係悪化しない場合もあります。
従前担当者と相手方で話あったが合意に至らなかったので、円満な話し合いによる解決を求めるために、まずは弁護士による請求行為を行って窓口を弁護士として交渉を継続するというスタンスを明確にして行う場合などです。
しかし、弁護士に債権回収を依頼しようと考えるケースでは、当事者間の信頼関係が悪化しており、継続取引は希望しない、関係悪化しても問題ないという場合がほとんどではないかと思われます。
相手方との関係悪化は、それほど問題にならないでしょう。
いずれにしても、債権回収は時間が経過すれば回収の見込み・可能性も下がっていきます。お早目に相談ください。
瀬戸法律事務所 弁護士 瀬戸伸一
0 件のコメント:
コメントを投稿