平成29年1月31日最高裁判所第三小法廷
検索事業者に対し,自己のプライバシーに属する事実を含む記事等が掲載されたウェブサイトのURL並びに当該ウェブサイトの表題及び抜粋を検索結果から削除することを求めることができる場合
http://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/482/086482_hanrei.pdf
忘れられる権利というものが,近年,論じられていますが,最高裁は,このような権利を単体として認めるということはせずに,重体のプライバシー権の範囲の中で判断するということとしました。
①まず,逮捕歴については,「児童買春をしたとの被疑事実に基
づき逮捕されたという本件事実は,他人にみだりに知られたくない抗告人のプライバシーに属する事実であるものではある」として,プライバシーの範囲内の事実としながら,
②「児童買春が児童に対する性的搾取及び性的虐待と位置付けられており,社会的に強い非難の対象とされ,罰則をもって禁止されていることに照らし,今なお公共の利害に関する事項である」
としました。
そうすると,刑事罰のあるものは,全部公共の利害に関する事項のようにも思いますが,窃盗や傷害,その他の犯罪と犯罪の種別によって,公共の利害性はかわってくるのでしょうか。
そして,
「検索事業者が,ある者に関する条件による検索の求めに応じ,その者のプライバシーに属する事実を含む記事等が掲載されたウェブサイトのURL等情報を検索結果の一部として提供する行為が違法となるか否かは,当該事実の性質及び内容,当該URL等情報が提供されることによってその者のプライバシーに属する事実が伝達される範囲とその者が被る具体的被害の程度,その者の社会的地位や影響力,上記記事等の目的や意義,上記記事等が掲載された時の社会的状況とその後の変化,上記記
事等において当該事実を記載する必要性など,当該事実を公表されない法的利益と当該URL等情報を検索結果として提供する理由に関する諸事情を比較衡量して判断すべきもので,その結果,当該事実を公表されない法的利益が優越することが明らかな場合には,検索事業者に対し,当該URL等情報を検索結果から削除することを求めることができるものと解するのが相当である。」
として,一応削除は可能としながら,「優越することが明らか」とかなりハードルの高い基準を設けました。
この基準が,検索結果だけではなく,投稿記事自体の削除についても,適用されるとすると,従前よりも,投稿記事の削除がむずかしくなるのではないかと思います。
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