2017年2月8日水曜日

法的な請求が難しい場合で,インターネット上の書き込みを消したり,新しい書き込みをやめさせる方法

  法律(プロバイダ責任制限法)に基づくインターネット上の書き込み(記事)の削除や書き込んだ人の特定(発信者情報開示)は,法律に記載された要件を満たす必要があり,その書き込み内容によっては,要件を満たさない可能性が高くないなど法的な請求が難しい場合があります。

 そのような場合でも,インターネット上の書き込みを消したり(削除),新しい書き込みがなされないようにするための方法はあります。

 まず,インターネット上の書き込みが書き込み者が管理する媒体以外のもの(たとえば,書き込み者とは別の運営会社が運営する電子掲示板など)であれば,裁判にかけた場合に要件を満たさないと判断される可能性があっても,とりあえず,法律上の要件を満たすとの理由をつけて(この点で専門家でないと難しいとおもいます),電子掲示板の運営者等に訴訟外での削除要請(要請についてはガイドラインに沿ったもの)をします。
 すると,削除要請を受けた電子掲示板の運営者等は,以後,書き込みを削除しなかった場合に,書き込みが権利侵害であった時には損害賠償請求を受ける立場になります。
 このため,争いを好まない電子掲示板の運営者等は,損害賠償請求や訴訟を起こされるリスクを避けるために,書き込みの削除に応じる場合も少なくないです。

 また,最終的に発信者情報の開示請求が認められない(現在は,書き込み者の氏名,住所の開示のためにはほとんど訴訟が必要)場合でも,書き込みのIPアドレス等の開示後,訴訟外の発信者情報開示請求を行うことで,書き込み者がつかっている携帯電話会社やプロバイダから,照会書(発信者情報開示請求がきたので,反論等あれば出してほしい等の内容)が行くので,だれか分からないだろうと安易に考えていた書き込み者は,事態の深刻さを理解することとなり,以後の書き込みを控えるようになる場合もあります。

 さらに,発信者の特定ができていない状況でも,書き込みを行ったであろう人物に,仮に書き込みを行っていれば削除をしてほしいと言う内容の文書を弁護士から送付することで,依頼者の書き込みに対抗する意思の強さを伝えることができますし,そのような文書を受け取った者で実際に書き込みを行った者は,依頼者(書き込み被害者)を貶めようという強い意思をもっていない限り,自分が被るリスクを考慮できれば,書き込みを削除したり,以後の書き込みを控えるのが通常です。
 ただ,この場合は,相手が発信者ではない可能性がありますので,決めつけたような内容は送れません。

 このようにして解決する事例も多くあり,また,訴訟手続を使わない解決のほうが解決までの時間が短く,費用も比較的低く済むことが多いので,法的な請求が難しい(厳しい)場合でも,一度,御相談ください。

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